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ツナ缶に“ゴキブリ混入”で下請け業者に1.3億円の賠償命令。泥沼裁判を続けるはごろもフーズに「逆に損」との冷静なツッコミが

ツナ缶にゴキブリとみられる虫が混入し、ブランドイメージが傷つけられたとして、はごろもフーズが下請け業者の興津食品に対して損害賠償を求めている裁判で、静岡地裁が約1億3,000万円の支払いを命ずる判決を出したと報じられている。

報道によると、問題の缶詰が発見されたのは2016年のこと。山梨県内のスーパーで販売されていたツナ缶にゴキブリとみられる虫が混入していたといい、売上高の減少とともに消費者の問い合わせに対応する緊急コールセンターの設置や購入者への返金などの負担が発生したという。

はごろもフーズは「被告の責によるため、問題処理にかかった費用を負担する義務を負う」として、興津食品に対して約8億9,700万円の損害賠償を求めて提訴していた。

当初、事実公表や自主回収を渋っていたはごろもフーズ

今回の裁判結果を受けて、興津食品の代理人弁護士は「わずかなミスで下請け会社が1億円以上も賠償しなければならないのであれば、食品製造の下請け会社は戦々恐々としてしまう」とコメント

SNS上でも、そういった興津食品の言い分に同情的な声も少なからずあがっており、はごろもに対する「下請けいじめ」といった批判も。ただ当時の報道を見てみると、この業者による問題の発生はこの件だけではなく、2014年にもツナ缶に体長7~8ミリのハエが混入していたという出来事もあったという。

ハエの件に関しても先述のゴキブリと同様に、虫には加熱された形跡があったため、製造過程で混入した可能性が高いとのこと。混入も一度ならともかく、それほど間を置かず複数回認められたとなれば、それは偶発的な出来事ではなく、そもそも品質管理の面で大きな問題があったのでは……といった視線を向けられるのは当然のことだろう。

いっぽうで、当時“ゴキブリ混入”の報を受けたはごろもフーズも、その対応は相当拙かったようで、購入してしまった消費者に対しては、比較的すぐさま同社の担当者が謝罪を行ったようだが、事実の公表や商品の自主回収に関しては、当初尻込みしていたという。

結局、メディアの報道によってゴキブリ混入の事実が明らかになったことで、公表や自主回収などの対応を迅速に行わなかったはごろもフーズの姿勢が、ネット上などで大いに批判されることに。

当初は「ほかのお客さまから同様な申し出がなく、混入は偶発的なもので連続性がない」ことを、事実を公表しなかった理由として挙げていた同社だったが、その後先述の通り、同工場による“ハエ混入”の事実も明らかになり、さらに炎上が加速する展開となったのだ。

ゴキブリ混入は断じて“わずかなミス”ではない?

そういった経緯もあったことから、“ブランドイメージが傷つけられた”として下請け業者を訴えているはごろもフーズに対しては、「イメージの毀損は、はごろもの事後対応のマズさが大部分」との声もあがるなど、一連の訴訟によって、はごろも側が逆に損をしているのではといった見方も、多くあがっているところ。

いっぽうでSNS上では、異物混入の類は数あれどゴキブリは特にキツイという見方も多く、一生引きずるトラウマになる……といった声も。ゆえに興津食品がそのことを“わずかなミス”だと裁判でしきりに主張していることに対して、違和感を感じる向きも結構多いようである。

ちなみに裁判に代理人の弁護士を出している興津食品だが、以前は所属していた業界団体の会員にその名は残っていないようで、一連の虫混入事件に以降、復活を果たすことができず、実質上の廃業状態となっている模様。ゆえに、はごろもフーズ側が求めている多額の損害賠償に応じられる体力が残っているかどうかは、不透明といったところだ。

それでも、はごろも側が和解といった方向に持っていかず、長らく裁判を続けているのには、損害賠償を得ること以上の何らかの思惑、もしくは興津食品との根深い確執があるものと推測される。ただ興津食品側も今回の判決を受けて控訴を検討しているなど、裁判は長期戦が予測されるだけに、そういった報道のごとに“ゴキブリ混入”話が蒸し返されてしまうはごろも側のイメージ的な損失は、今後相当なものとなっていきそうだ。

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