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ベネッセ、総額約25万円の英語教材サービスの突如終了でブチ切れる親たち。“クーリングオフ回避”疑惑も浮上で株価は年初来安値を更新

ベネッセが展開していた乳幼児向けの英語教材コンテンツ「ワールドワイドキッズ」が、今月1日に突如サービス終了を告知したことで、利用者の間で動揺の声が広がっているようだ。

同社のウェブサイトによると「英語圏の子どもたちと同じプロセスで学ぶ点」を大きな特長としていたワールドワイドキッズ。0歳から8歳まで使える英語教材ということで、映像コンテンツの収められたDVDや英語絵本やCD、さらに知育玩具などが含まれたセットが、1回払いだと249,480円で販売していたという。

ところが今月1日に、ワールドワイドキッズの公式インスタグラムが、11月末日をもって販売を終了するとともに、サポートなどの会員向けサービスも2024年3月末までに順次終了すると告知。約25万円というそれなりに高額な教材であることにくわえ、乳幼児期から8歳までという長い期間活用できるをことをウリにして、それに惹かれて購入していた向きにとっては、その途中でサポート等が途切れてしまうこともあり、不安の声が広がっているというのだ。

直前まで特典付きキャンペーンを実施か?

ワールドワイドキッズのサービス終了が公表がされて以降、SNS上ではユーザー間での情報交換がしきりに行われているようだが、同社の相談窓口に電話と繋がったという方によれば、どうやら受講者が減り経営が困難になったことが、サービス終了の理由だということ。

また電話窓口での申し込みで、サービス終了から本来サポートを受けられるはずだった年数分、1年あたり1,000円という計算で、最大6,000円までの返金に応じるといったアナウンスがされている模様。教材そのものの対価が、先述の通り約25万円だという捉え方もできるいっぽうで、なかにはサービスを途中で打ち切っておいて返金額はコレだけ?……といった声も一部からは出ているようだ。

いっぽう、今回の件でベネッセ側の対応として「不誠実なのでは?」といった声が広がっているのが、サービス終了が告知される結構直前まで、教材の営業・販売を精力的に行っていたという点。

しかもSNS上では、先月11月23日までは特典付きのキャンペーンも行っていたという話も浮上。この手の契約は、特約がない場合には商品などを受け取った日を含めて8日以内であれば、クーリングオフによる解約が可能だが、仮に23日に契約した場合、12月1日にサービス終了を知って解約しようにも、クーリングオフの対象外になるとのこと。

11月23日までの特典付きキャンペーンから、あえてその期間だけずらす形でサービス終了の告知を遅らせたのか、あるいは元々決まっていた12月1日の告知予定から逆算して、キャンペーンの期間を設定したのか、その真相は明らかではなく、また法的には問題のない行為であろうとはいえ、それは企業姿勢としてどうなのか……ということで、ベネッセへの批判の声がさらに高まっているといった状況だ。

“ベルリッツ売却”の際は株価上昇も…

世間でグローバル人材の育成が叫ばれ、さらに2020年度からは小学校でも英語の授業が始まったということで、自らの子どもに早いうちから英語を習わせようと考える親が増えている昨今。

最近では英語保育を行うインターナショナル保育園やプリスクールが人気で、さらに英会話学校でも未就園児向けのクラスを設けるところもあったりする模様。ただ、その反面で近隣にそういう施設が無い、あるいは費用面の問題でそういった施設に通わせるのが難しいといった層向けに、家庭で継続的に英語を学ぶために作られた教材を活用するという、いわゆる“おうち英語”というのも流行っているのだという。

今回取沙汰されているベネッセの「ワールドワイドキッズ」だが、ウォルト・ディズニー・カンパニーが正式に認めた教材だという「ディズニー英語システム」と並んで、そんな“おうち英語”界隈では有名な存在だったようだ。ちなみにディズニーのほうだが、その教材費は実に総額100万円ほどかかるようである。

それだけ、子どもの英語教育に対して「金に糸目を付けぬ」といった親が増えているということだろうが、そのいっぽうで近年では機械翻訳も飛躍的に精度を上げていることもあって、一部からは英語学習自体の優先度は下がりつつあるとの見方も、少なからずあがっているところだ。

いっぽうベネッセに限らず、今後の教育業界全体において危惧されているのが、年々深刻の度を増す少子化の問題。

実際、今回の「ワールドワイドキッズ」サービス終了に関しては、先述の通り受講者の減少による収益悪化が原因だと説明しているということで、そのことは子ども向けの英語教育が多種多様となっている現状もさることながら、単純にパイが減っていることもひとつの遠因だと考えられそうである。

【関連】ベネッセHD、ベルリッツ売却で株価上昇。都立高入試にも「英語スピーキングテスト」で食い込み“少子化社会”での生き残りに隙は無しか

ベネッセといえば「進研ゼミ」に代表される従来からの通信教育事業にくわえ、近年では同社による英語民間試験が大学共通入学テストに導入されることが一時検討されたりするなど、少子化社会での生き残りをかけて、国や地方自治体の行う教育関連事業にもなりふり構わず食い込もうとするいっぽうで、今年2月には不採算事業となっていたベルリッツをあっさり売却したことも大きな話題に。

その際には、一時的に株価が上昇するなど否定的な声はほとんど上がらなかったのだが、今回の件に関しては先述の“クーリングオフ回避”疑惑などの悪評もあり、週明け5日の株価は年初来安値を更新。SNS上からは「ベネッセなんか信用しちゃいかん」などという声もあがるなど、信用のダダ下がりは避けられないといった状況のようである。

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