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なぜ借り主が負担?「家賃保証会社」利用が8割まで拡大も非難轟々。サラ金まがいの悪質取り立て&追い出しでトラブル続出

賃貸住宅を契約する際に、賃借人の連帯保証人を代行する家賃保証会社だが、その利用が増えるいっぽうで、悪質な取り立てや追い出しといったトラブルが後を絶たないと報じられている。

2000年代に新規参入が相次ぎ、現在は250社以上が存在するという保証会社。今では不動産賃貸借契約の際における利用は80%(2021年)まで増加しているというが、そのいっぽうで、家賃を滞納する借り主に対して深夜の訪問や「借金してでも返せ」といった暴言を伴うような、強引かつ執拗な取り立てが横行しているとのこと。

このような状況に対し、国交省は17年に任意の業者登録制度を開始し、22年11月時点で90社が登録しているとのこと。また業界団体でも、滞納回収時に正当な理由なく物件に立ち入ったり、借り主の持ち物を処分したりすることを禁じるなどの自主ルールを設けるなど、対策に乗り出しているというが、全国の消費生活センターには毎年500件前後の相談が寄せられている状況だという。

民法改正で保証会社の利用が加速か

連帯保証人が立てられない際に活用するといったイメージも以前はあったものの、今では契約時の約80%のケースで利用されているという家賃保証会社。

これは2020年の民法改正によって連帯保証人の関する制度が変わり、連帯保証人は支払いの責任を負う金額の上限を定めなければ、保証契約が無効になるといったルールが定められたことから、それ以降は限度額設定の必要がない保証会社が、貸主側からより重宝がられるようになったという流れがあるようである。

そんな保証会社なのだが、今のところこれといった法規制どころか監督官庁も存在しないのをもっけの幸いに、まるで大昔の消費者金融のような強引な取り立てや追い出しを行っている会社も一部あるという今回の記事。

これに対してSNS上からは「そもそも家賃を滞納する人間が悪い」といった、自己責任論的な意見もあるいっぽうで、おおむね家賃の50%~100%の間といった、決して安くはない保証料を持っていく保証会社に対しては、あまり良いイメージを持つ人は少ないようで、その存在を疑問視するような声も少なからずあがっているところ。

特に、利用者の間で「解せない」との声が多いのが、そんな保証会社への負担を借主側がするというシステム。

公益財団法人日本賃貸住宅管理協会の調査によれば、入居戸数に対する滞納戸数の割合である「滞納率」は、1か月が0.9%、2か月以上で0.4%(ともに全国・2022年度)となっているようだが、そういった少数の不届き者の尻拭いを、毎月真面目に家賃を払っている大多数の借主がする構図となっているところに大いに不満が募っているようで、「むしろ貸主が負担すべき」といった意見も多くみられるといった状況だ。

保証会社の審査、今後はより厳しく?

このように借主側からは大いに嫌われるいっぽうで、今や契約時にはほぼ無条件に加入させられる流れとなっている保証会社だが、近年ではその入居前の審査がかなり厳しく、引っ越しもままならないといった声も多く聞かれる。

特に前掲の記事でも取り上げられていた、家賃滞納世帯に対する保証会社のいわゆる「追い出し条項」の是非が争われた訴訟において、昨年12月に最高裁が“条項は違法”という判断を下したことによって、今後保証会社による審査がさらに厳格化するのでは……といった危惧もあがっているところ。そうなれば、生活に困窮している低所得者、あるいは年金暮らしの高齢者といった層が、その影響を真っ先に受けるのは間違いなさそうだ。

近年では経済的な事情で止む無くといった層にくわえ、それ以外にもメンテナンスの有無や、固定資産税の問題など様々な理由や価値観により、老後も含め「一生賃貸に住む」と決断する向きも増えているというが、そういったライフスタイルの遂行にも、今後は保証会社の存在がある一定の影響を及ぼしていきそうである。

Next: 「恩恵を受ける貸主が払うのが筋だろ」

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