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参院選波高し。窮地の安倍政権が飲み干した「GDPプラス」という毒杯=斎藤満

“株価粉飾”を封印された安倍首相

見た目はプラス成長となったGDPも実態は弱く、政府がいくら「景気は緩やかに回復」と繰り返しても、国民にその実感はありません。この夏には参議院選挙が予定され、安倍総理は野党が候補者を用意できないうちに衆参ダブル選挙に持ち込みたい意向のようです。

そして何よりも選挙を優先する政府としては、それまでに円安株高に誘導したいと思っています。

ところが、円安誘導はまかりならぬと、米国財務省が日本を「為替監視国」にリストアップし、今回のサミットでも通貨安誘導を厳しくけん制してきました。そうなると、為替介入はおろか、日銀がマイナス金利を拡大して円安を誘うことも難しくなります。

現に、ワシントンからは日銀のマイナス金利策には不快感が表明されています。

米国が4月のFOMC(連邦公開市場委員会、日本における日銀金融政策決定会合のようなもの)で、指標が上向けば6月にも追加利上げの可能性を示唆したので、ドル円は110円前後まで円安となりました。これで円高懸念はやや後退しましたが、逆に日銀はここから追加緩和をするのが難しくなりました。米国がドル高円安を強く嫌っているためです。

つまり、アベノミクスの柱であった円安を活用し、株価を上げるルートが使えなくなってしまいました。それだけ企業収益にも負担となり、ボーナスや雇用にも影響が出かねません。

崩れる財政拡大シナリオ

金融緩和、円安が使えないとなれば、財政拡大に期待がかかります。米国もサミットで財政拡大を議論したい意向を見せていました。

ところがサミット議長国の日本に立ちはだかったのがドイツで、かたくなに財政規律を順守する姿勢を貫き、協調姿勢を見せません。

安倍総理のサミットでのリーダーシップ発揮で勢いをつけ、選挙に臨むシナリオが崩れてしまいました。日本自身も率先して財政拡大を打ち出す余裕はありません。それ以外に合意できるような成長戦略もありません。

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