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実質利上げ…2023年マンション市場はどう動くか。住宅ローン「変動型」はどう対処?どうしてもいま買いたい人への処方箋も=俣野成敏

“高嶺の花”になりつつあるマンション購入

丸山:はい。中でも最近、住宅ローンに積極的になっているのが信用金庫(信金)です。都市銀行などでは審査が難しい方であっても、信金なら融資をしてもらえる場合も度々あります。

俣野:年収倍率でいうと、どれくらいなのでしょうか。

丸山:そもそも年収倍率というのは、住宅購入価格が年収の何倍になるかというのを数値化したものです。現在は、都市銀行、ネット銀行などでだいたい7倍から8倍くらいが基準になっています。

一方、信金では10倍くらいまでであれば、審査を通すケースがしばしばあります。

俣野:10倍と言えば、年収1,000万円の人が1億円のローンを組めるということですが、先々のことを考えると、かなり無理をしているような気もします。

多くの人が新築では手が出なくなり、中古マンションに流れた結果、都心の中古物件が1億円台に迫る勢いです。

※参考:都心中古マンション1億円迫る 購入コスト29年ぶり高水準 – 日本経済新聞(2023年1月24日配信)

「借りられるから買う」が価格を押し上げている

俣野:もはや、都心のマンションは一般人には手の届かないレベルにまで達してしまいました。

丸山:もともと、不動産は需要と供給で価格が決まります。

現在、物件価格が高騰している要因の1つに、新築マンションの供給数の減少が挙げられます。デベロッパーの大手5社による新築物件のシェアが、2006年は2割に満たなかったのが、現在は3割を超えてきています。

その理由は、2008年に発生したリーマン・ショックの煽りを受けて、多くの中小企業が破綻し、市場から退場してしまったことにあります。

通常、マンションの施工には2年ほどかかります。すでに都心の用地取得が困難になってきていることに加えて、原材料費の高騰や人件費の問題、円安などといった要因も絡んできますので、今後も物件価格の高止まり状態が続くのではないかと見られています。

俣野:近年は夫婦共働きが増えたことで、世帯で年収を合算して高額物件を購入する、いわゆるパワーカップルも増えていると言います。こういう現状も、需要を下支えしているように感じますね。

個人的に、気掛かりなのが「借りられるお金=返せるお金」ではない、という点です。

多くの人にとって、住宅は人生でもっとも高額な買い物になります。従って、衝動買いをするような代物ではありません。

本来は、自分たちのライフプランの一環として、「住宅にいくらまでなら使ってもいい」という見通しのもと、購入物件を選定していくべきでしょう。

けれど、実際は「借りられるから買う」という考え方で選んでいる人が多いのが実情です。

丸山:確かに、新築マンションの展示場などで、販売員が顧客に対して限度額いっぱいまで借り入れを勧めているような光景を度々、目にします。業者の言うことを鵜呑みにしていると、後で支払いが困難になる可能性もあります。

俣野:最近は、40年ローンも登場しているそうですね。確かに、借入期間を長くすれば、その分、月々の支払いを抑えることはできるでしょう。

しかしそれでは、単に返済を先延ばししただけで、老後に問題を先送りしたようなものではないでしょうか。

将来的に金利が上昇していくと予想される現在、こうした状況を憂慮せずにはいられません。

Next: すでにローンを組んでいる人は、金利の上昇にどう対応すべきか?

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