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米銀行を破綻に追い込んだツイッター投稿の破壊力。AIが主導する未来のSNSはもっと怖い=高島康司

AIが主導する未来のSNSはもっと怖い

ところで、すでに感じている読者の方々も多いかもしれないが、2023年はAIが本格的に社会に導入される転換点になる年だ。昨年の11月のAI搭載チャットボット「ChatGPT」の出現後、まだ4カ月しか経っていないにもかかわらず、ほぼ毎日のようにAIによる新しいサービスが凄まじい勢いで立ち上がっている。

「ChatGPT」のようなAIボットが生成した文章の意味を読み取り、内容に合ったビデオや音楽を自動生成するサービス、生成した文章をしゃべってくれる自分をコピーしたアバター、アクセス数を飛躍的に高めるSNSの投稿をAIが自動的に生成するサービス、入力した文章の意味を読み取り、内容に合致した絵画を描くサービスなどその種類は日々無限大に広まっている。

思えば、インターネットブームの始まりは、Windows95が発売された1995年であった。それから4年後の1999年くらいになると、「アマゾン」を始め多くのオンラインサービスが登場し、金融やショッピングなど我々が日常で使う多くのサービスがインターネットに包含され、オンライン化した。そして2000年から2001年には「ドットコムバブル」と呼ばれる空前のバブル景気が起こった。

いまAIによるあらゆるサービスの拡大は、インターネットの黎明期を思わせる勢いがある。しかし、そのスピードはインターネットの拡大期どころではない。はるかに速いのだ。インターネットの変化が年単位だとすると、AIの拡大期は週単位くらいで劇的に変化・拡大している。

おそらくこのペースだと、2024年には我々はAIの提供するサービスに完全に依存した状態になるだろう。日々の献立から家計の管理、個人的な悩みの相談、休日の旅行計画の作成、恋人や家族の代用、読みたい本の選定など、我々の日常で思いつくあらゆる活動がAIの提供する高度なサービスに依存するようになる。いま我々にとってスマホはなくてはならないものだが、今後はそれ以上にAIのサービスが日常に入り込み、それなくしては生活のクオリティーが大幅に下がる状況にもなるはずだ。「スマホ命」になったように、みながAI中毒になるだろう。

そしてその後は、地方自治体が予算の配分や公共事業の立案、住民の満足度を高める行政サービスの立案など、行政がAIを全面的に取り入れるだろう。それと同時に、今度は政府が国家的な問題の解決の糸口を探るために、AIを徹底して活用することだろう。この段階まで進むと、AI依存はさらに高まり、AIが人間を支配するという言葉もリアリティーを持つ状態になるだろう。

アクセス数を上げるためにAIが自動投稿

そうした数々の分野の中でも、AIの影響が大きいのがSNSだろう。

数カ月前からすでに提供されているが、アクセス数を飛躍的に増やせるSNSの投稿をAIが勝手に生成してくれるサービスである。またユーチューブのような動画配信サービスであれば、高いアクセス数を見込める動画をAIが自動生成してくれる。さらに、高いアクセス数が期待できる投稿への返信もAIが考えてくれる。

ここまで来ると、SNSはAIの独壇場になるかもしれない。高いアクセス数を期待できる投稿をAIが生成すると、それに対する返信やレスポンスも高いアクセス数を見込めるものをAIが勝手に行ってくれる。SNSの高いアクセス数は、金銭的な見返りが大きい。

すると、多くの人々がAI同士の投稿とレスポンスを競い合うことにもなるだろう。

Next: AIとSNSが新しい形態の金融危機の原因になる

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