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局内の女性を狙ったトイレ盗撮で逮捕者も。郵便局で異常に多い“局長”の不祥事。自民党の支持団体「全国郵便局長会」の存在が温床に?

郵便局長が郵便局内で、女性の局員を狙って盗撮するという事案が、このところ各地で起こっていると朝日新聞が伝えている。

記事によれば、局長によるトイレや休憩室での“局内盗撮”は、過去2年で3件が判明したといい、いずれも小規模な旧特定郵便局においてだという。

今年2月には、都内の50代の郵便局長が都の迷惑防止条例違反で警視庁に逮捕され、その後、釈放されたとのこと。複数の関係者によれば、局内の休憩室で女性局員を狙って盗撮していた疑いがあるという。

女性社員からは「安心して働けない」と不安の声があがっているというこの件。日本郵便側は「事実が判明次第、厳正に対処する。悪質・言語道断な犯罪で、過去の職場内での盗撮も懲戒解雇処分など厳正に対処している」「研修や指示文書などで指導を続け、安心して働ける環境づくりに務める」と取材に答えたという。

着服に横領…各地で相次ぐ郵便局長の不祥事

定期的に耳にする感がある配達物の廃棄をはじめ、切手の着服や客の貯金の不正引き出しなど、枚挙に暇がないといったところの郵便局員による不正や不祥事。

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郵便局においては、現金横領などの不祥事があまりにも増えたために、全国各地の郵便局の事務スペースに、数百億円もの予算をかけて防犯カメラを設置する計画が浮上したとの報道も以前にはあったが、今回の件はそんな局員監視のためではなく、まさかのエロ目的でのカメラ設置ということで、まさに呆れて開いた口が塞がらないといったところだ。

とはいえ、盗撮に限らず不祥事の類といえば、例えば警察官や公務員によるものの多く耳にするところなのだが、郵便局におけるケースで特徴的といえるのが、一般の局員のみならず、それらを指導・監督すべき立場であろう“局長”による不始末が異様に多いという点。

今回の件もそうなのだが、最近では局内で保管していた現金を持ち出し着服するなどの行為で、業務上横領などの罪に問われた局長に、懲役2年10か月の実刑判決が下ったばかり。またちょっと前には、経費で買った家電を横領したり、個人で飲む清涼飲料水を経費で購入していたという、何ともセコすぎる局長らが懲戒解雇となった出来事もあったようだ。

このように数々の不正や不祥事に手を染める郵便局長だが、なかでも特に問題が多いとされるのが、今回の報道でも取沙汰されているように、全国に約1万9千箇所あるとされる地方などの小規模な局、いわゆる旧特定郵便局の局長たち。

旧特定郵便局の局長らは、その大半が任意団体の全国郵便局長会(全特)に所属しているというのだが、旧特定郵便局の局長職は、その団体における序列上位の局長に強い人事権があるとのこと。また旧特定郵便局に関しては、ひとたび局長となれば転勤が原則としてなく、さらに後任が世襲で選ばれるケースもあるなど、外部から見れば特殊すぎる慣例が残っているという。

関係者の話によれば、本社や支社には各地域の細かな事情までは分からないため、旧特定郵便局の採用や人事は、全国郵便局長会に任されてきたという経緯があるとのこと。そのため、旧特定郵便局の局長らの間には強い結束が存在する反面、不祥事が起きた際のかばい合い、さらには上下関係を背景にしたパワハラなどが常態化しているというのだ。

自民支持の郵便局長が顧客データを政治利用

このように、各地で頻発する不正や不祥事の温床となっているとの指摘も多い全国郵便局長会だが、いっぽうでは自民党の有力な支持団体であることも知られた話。

郵政民営化の際には冷え切った自民党と全国郵便局長会の仲だが、近年では再び良好な関係性のようで、2019年の参院選では同団体が推した候補者が全国で約60万票を獲得し、自民党比例代表のトップで当選。また直近の2022年の参院選では、得票数こそ約41万票と前回より減らしたものの、それでも自民党内2位で当選を果たしている。

全国各地に40万人以上いるという、日本郵政グループ従業員からの支持を受け……ということなのだが、一部の局長のなかには、郵便局を利用した人の個人情報やゆうちょ銀行の顧客データなどを流用し、後援会入会の勧誘などに使っていたというも。なんでも2018年度以降、全国で計104人の局長が局内の書類などから顧客データ計1318人分を抜き出し、全国郵便局長会への社外提供や戸別訪問や電話での勧誘といった“目的外使用”をしていたというのだ。

このように、政権側との抜き差しならない関係性も持つ全国郵便局長会だけに、今回の件のような不正や不祥事の温床だと散々指摘されていても、その改革に日本郵便は及び腰の様子。現に、郵便局長による不正の頻発を受けた昨春の人事でも、各支社の人事機能を強化したと表明したものの、旧特定郵便局長の異動は平年並みにとどまったという。

これまでは権力や金銭絡みといった話が主だった印象もある、旧特定郵便局の局長らによる不祥事。ここに来て“盗撮”という破廉恥な話まで浮上したとあって、その腐敗ぶりもここに極まれりといったところだろうか。

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