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クックパッド、今年3度目となるリストラ断行の異常事態。増殖する“ゴミレシピ”放置と動画対応への遅れが致命傷に?

料理レシピのコミュニティサイト「クックパッド」を運営するクックパッド株式会社が、今年3回目となる人員削減を行うと発表したことが波紋を呼んでいる。

報道によれば、海外子会社を含むグループ全体で110人程度を削減するとのことで、日本では対象者に退職を推奨、海外子会社では解雇を行うという。退職予定日は6月末から8月末で、いずれの場合も特別退職金を支払うことから、2023年12月期第2四半期(4~6月)の決算で、営業損失3億5,000万円を計上する見込みだという。

クックパッドは今年2月に複数の新規事業部門で、また3月には海外子会社で希望退職者を募集しており、今年に入り計120人程度をすでに退職させている。

ちなみに同社が2月に発表した2022年12月期通期の連結決算は、売上高が90億8,600万円(前年比9.2%減)、営業損益が35億2,000万円(前年は26億3,200万円の赤字)と赤字が拡大している。

レイオフ対象者の“Twitter就活”が盛んに

今年に入って人員削減は3度目となるクックパッドだが、今年2月は40人、同3月は80人だったのが、今回は110人程度の削減とそのリストラ規模がだんだんと大きくなっているといった状況。

しかも、同社の一部事業の廃止に伴って行われた今年2月の人員削減では、エンジニア職やデザイナー職はその対象から除かれていたのだが、今回はそういった人々も多く削減対象に含まれている模様。そのためSNS上では、退職勧奨を受けたエンジニアやデザイナーらが次の仕事を募るという、さしずめ“Twitter就活”といった動きも大いにみられるようだ。

レシピサイトとして抜群の知名度を誇るクックパッドだが、その売上収益の柱はプレミアサービス会員から月々得られる会費とサイトの広告収入。

ただ、ここ数年の国内のプレミア会員数の推移を見てみると、2018年の第4四半期にめでたくも200万人を突破したものの、2021年あたりから下降線を辿るようになり、2022年第4四半期には168万人まで減少。また広告売上のほうも、2022年第4四半期の数字は前年同期比で-26.1%まで落ち込んでいる。

また株価のほうだが、2015年から2016年にかけて2,500円を超えていた時期があったものの、創業者と前社長が対立するという“お家騒動”もその頃にあって、その後は下落の一途。今月6日の終値は177円と往時の勢いは見る影もないといった状況だ。

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「クックパッド離れ」を招いたものとは?

いっぽうで、有料会員に限らず単にクックパッドでレシピを探すといった利用者も、ここ数年は減っているとのことで、「クックパッド離れ」といった言葉も取沙汰されて久しいといったところ。

サイト利用者からの投稿によって掲載レシピ数を増やしてきたクックパッドだが、逆にレシピの数が増えすぎたために、利用者の間からはレシピのチョイスに迷ってしまうといったが上がっていたようだ。

また同時に、レシピのクオリティも基本的には素人による投稿なだけに玉石混交、ぶっちゃけていえば“ゴミレシピ”と呼ばれるような、あまり役に立たないレシピが増えたにも関わらず、その状況を半ば放置したのも悪手だったとの指摘も。特に酷いケースだと、離乳食レシピにも関わらず、はちみつが入ったものも以前は多くあったようで、そのことが大いに叩かれたことも過去にはあった。

さらに、そういった“ゴミレシピ”が、普通に検索サイトなどでレシピを探している時に“サジェスト汚染”よろしく多く引っかかることも、クックパッドへの嫌厭に繋がったようで、そういった層は、食品メーカーや調味料メーカーなどが運営するレシピサイトなどに流れたようだ。

そしてクックパッドの場合、“ゴミレシピ”放置以上に痛手となったと指摘されたのが、動画コンテンツへの対応に遅れた点。これにより、レシピ動画をメインに掲載する「デリッシュキッチン」「クラシル」といった競合レシピサイトの台頭を許してしまい、サイトの凋落を招く原因となったようだ。

このような経緯からも、近年のクックパッドの苦境や今回取沙汰されている一連の人員削減も、「当然の帰結」といった反応が多いわけだが、ただ以前と比べて減ったとはいえ、なおも150万人以上もの有料会員を抱えるなど、根強い支持を得ているサイトであることは間違いなく、今後の盛り返しを期待したいと願う向きも多いといったところのようだ。

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