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「らあめん花月」人材派遣業フルキャストが謎の買収?「すき家」ゼンショーはドイツ寿司チェーンM&Aで売上1兆円射程圏に。飲食業界大型投資の裏側を徹底解説=井戸実

創業8年で200店舗を展開

また、もうひとつ驚いた発表がありました。「らあめん花月」を主力業態に約200店舗を展開するグロービート社が、人材派遣業等を営む(株)フルキャストホールディングス社に買収されるとのことです。なぜフルキャストの平野さんがラーメン業界に進出するのでようか?

ご本人にお話は聞けてないので、今回はグロービート社に触れてみたいと思います。

グロービートの創業者の黒須さんと露見さんとは全く面識もないので、掘り下げた話はできないのですが「らあめん花月」は、黒須さんが1992年26歳の時に杉並で創業しました。最初は醤油味の東京ラーメンだったそうですが、翌年にとんこつに切り替え「にんにくとんこつラーメン」が誕生します。

それが当たったんでしょうね。翌年にFCで1号店が開業し、そこから3年後の1996年にあっという間に50号店を達成します。1号店から4年目なので凄い勢いでしたよね。ちなみに僕は4年と6ヶ月で100店舗でしたが……。

1996年は何があった年かと言えば「牛角」の前身となる「焼肉市場 七輪」を、西山さんが三軒茶屋に開けた年です。

「らあめん花月」は50号店達成から2年後の1998年に100号店を達成。その2年後の2000年に200号店を達成しております。創業から8年目。創業者の黒須さんが34歳の頃ですから、凄いプレイヤーでしたよね。

この頃、僕もレインズ社の店舗開発スタッフで都心部を掛けずり回っている修行時代でありましたが、FC加盟募集を募る媒体(例えばアントレとか)や、FCショーとか、FCのラーメン業態と言えば「らあめん花月」というくらい、際立って名前が表に出ていた印象があります。

実際その当時、筍のようにニョキニョキとラーメン業態が世の中に出て来て、脱サラしてFCでラーメンに挑戦するのが、ちょっとしたムーブメントになっておりました。

しかし、その当時出て来た数多のラーメンブランドが、現在の「らあめん花月」ほどの店舗数で生き残っていることはなく「らあめん花月」がいかに成功したブランドだったのかわかるかと思います。

しかし200店舗超を頂上に、らあめん花月の成長は足踏み状態となります。ここ近年は、有名ラーメン店とのコラボ商品を1ヶ月ごとに切り替えて自店で提供するという、他社に例のない販売方法で顧客獲得をしております。

純資産の積み上げが半端ない

そんな同社のコロナ前の19年から22年までの4年間のスコアは以下の通り。

売上高/営業利益/当期利益

19年 68億/6.8億/5.6億
20年 58億/2.2億/3億
21年 51億/0.4億/4.7億
22年 51億/▲0.4億/4.6億

21年、22年は確かに凹みましたが、FC比率が高いので、大きく負けることは無かったのと、助成金収入でむしろ大きな利益を計上しております。

ビックリするのが純資産です。22年6月期で62億円も積んでいます。純資産額が年商を超えることは、外食企業だと、よほど特殊な要件がないと果たせません。今年で創業から31年目になるのですが、創業から10年目に売上のピークを迎え、以後、売上利益は微減しながらも、当期利益で年間3億円程を20年積み重ねた結果なのですが、口で言うのは簡単ですが、なかなかできることではありません。

そんな同社の譲渡金額は80億円とのことです。60億も純資産積んだのに80億円かぁ……と、ボソッと呟きたくなりますが、そこは何かしら込み入った意向や事情があると思いますので、僕の口からは譲渡価格につきましては言及いたしません。

ハンバーガー、持ち帰り寿司、回転寿司、ラーメン……投資対象になる業態は食事業態なんですね。


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image by:at Wikimedia Commons [CC BY-SA 4.0], via Wikimedia Commons
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<ロードサイドのハイエナ> 井戸実のブラックメルマガ』(2023年6月28日号)より一部抜粋
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2010年度外食企業売上高伸長率で日本一となった株式会社エムグラントフードサービスの創業者オーナーです。2011年9月で会社設立から丸5年を迎えます。たった5年で総店舗数260店舗以上。売上高で165億円の社を作った軌跡の一部をメルマガにてお伝えします!

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