fbpx

富士通、本社移転で危惧される汐留の“ゴーストタウン化”。すでに「ピエリ守山もかくや」「枯れた汐留」との嘆きも飛び交う寂れぶり

富士通が現在本社を置いている東京都港区汐留の大型ビルから退去し、神奈川県の川崎工場などに本社機能を移すと報じられたことが、大きな波紋を呼んでいるようだ。

富士通は2003年に、都内丸の内にあった本社の管理部門と分散していた営業機能を1か所に集約。港区にある大型ビル「汐留シティセンター」に本社を置いていた。しかし、本社から離れた外部オフィスを全国に増やすなどしてリモートワークが普及した結果、社員の出社率が2割程度に下がっていたという。

今後富士通は来年9月末までに汐留シティセンターから退去し、本社の管理部門を神奈川県川崎市にある「川崎工場」に移すほか、営業部門を川崎市内のオフィスビルに、システム開発部門を都内大田区のオフィスビルにそれぞれ分散化させるという。

本社ビルのあり方を見直す動きが活発化との見方も…

コロナ禍をきっかけに多くの企業に広がったリモートワーク。昨今では“オフィス回帰”の動きもあるとはいえ、それでも都心の一等地にいわゆる本社ビルを構えて、多くの従業員を集めて仕事をさせるという旧来のスタイルは、もはや非効率的なだけではないか……といった見方も少なからず出ていたところ。

しかしながら、実際に大企業が都心の本社を無くしてしまうというのは、まだまだその事例が少なく、近年では2023年3月に横浜ゴムが、業務効率化および働き方改革を目的として、本社機能を東京都港区から神奈川県平塚市の同社平塚製造所に移転・統合させたケースぐらい。

もっとも本社移転ということでいえば、あのビッグモーターが今月突如、都内港区の六本木ヒルズから、東京都多摩市や横浜市の自社店舗に分散移転したと伝えられたばかり。

だが、これに関しては一連の保険金不正請求問題で、経営が急激に悪化したことで六本木ヒルズの高額な家賃が払いきれなくなったうえに、さらには直後に予定されていた金融庁による立ち入り検査に対しての“攪乱”も噂されていたところで、今回の富士通による本社移転とは話の次元が違うというのが実際のところのようだ。

それだけに今回の富士通の件がきっかけで、本社ビルのあり方を見直す動きが今後活発化するのでは……といった声も聞こえてくるのだが、そもそも富士通に関しては川崎市が創業の地。

管理部門が移る予定のJR南武線の武蔵中原駅からほど近くの「川崎工場」、さらに営業部門が移るという川崎駅至近の「Fujitsu Uvance Kawasaki Tower」など、同地に自前の地所を多く有しており、それだけにさほど不便ではない都外の地にすんなり移れたということもあり、他の企業がおいそれと真似ができるかといえば、やはり疑問符がつくところだろう。

広がる“汐留ゴーストタウン化”の危惧

いっぽうで、今回の富士通の本社機能移転の報道を受けて、一部からあがっているのが、これで汐留がますますゴーストタウン化するのではないか……といった声だ。

新橋駅からもほど近い汐留といえば、長らくは貨物駅の跡地として放置されていた広大な土地だったのが、今世紀に入り超高層オフィスビルが立ち並ぶビジネス街として飛躍的な発展を遂げたエリア。ところが、ここ近年はコロナ禍でのリモートワーク普及、また電通の本社ビル売却なども影響したのか、街を行く人々の数が目に見えて減っているとの声がチラホラとあがっているところ。

その電通本社ビル内にあり、同地の代表的な複合商業施設である「カレッタ汐留」も、昨年末にはマクドナルドまでもが撤退してしまい、今や空きテナントだらけという状況。SNS上では「ピエリ守山もかくやという寂れぶり」「枯れた汐留」といった嘆きの声まであがるほどの惨状だというのだ。

都心部では向こう数年で複数の高層ビルの開業が予定されるなど、オフィスの大量供給が計画されている状況だが、オフィス回帰の動きが予想以上に顕著だとはいえ、このままでは明らかに供給過多になるのではといった声も、SNS上では広がっているところ。

少なくとも今後、エリアごとでの人気の優劣は顕著となりそうで、富士通も去ってしまう汐留の前途は厳しいものとなりそう……との見方が大勢のようだ。

Next: 「汐留がこんなに早く廃れるとはね」

1 2
いま読まれてます

この記事が気に入ったら
いいね!しよう

MONEY VOICEの最新情報をお届けします。

この記事が気に入ったらXでMONEY VOICEをフォロー