いま世界を動かしている6つのメガトレンドと、その結果として起こる世界的な不況の可能性について解説したい。今後、なにが起こり、世界と日本がどうなるのか注目しなければならない。(『 未来を見る! 『ヤスの備忘録』連動メルマガ 未来を見る! 『ヤスの備忘録』連動メルマガ 』高島康司)
世界を動かす6つのメガトレンド
いま世界を動かしている6つのメガトレンドと、その結果として起こる世界的な不況の可能性について解説したい。
いまウクライナ戦争、欧米とロシアとの厳しい敵対関係、米中の先鋭化する軍事対立、アフリカ、西サヘル地域における革命とロシアの勢力拡大、欧米の凋落とBRICSの拡大など、いま世界史的な転換点にあることは間違いない。今後、なにが起こり、世界と日本がどうなるのか注目しなければならない。
では、そうした状況で、今年の年末から2024年にかけてなにが起こるのだろうか。気になるところである。
それを判断するためには、世界の動きを左右する6つのメガトレンドを確認しておく必要がある。このトレンドを見ると、これから世界的な不況が迫っている恐れがあることが分かる。
その6つのメガトレンドとは、以下のものである。
- ウクライナ戦争の長期化、2035年まで続く?
- 米中対立とBRICS経済圏とのディカップリング
- 食料、資源、エネルギー、IT製品価格の高止まり
- 慢性的な労働力不足と賃金の上昇圧力
- インフレの恒常化
- 高金利の恒常化
これらのメガトレンドをそれぞれ見て見よう。
<世界を動かすメガトレンド(1)ウクライナ戦争の長期化、2035年まで続く?>
これは前回の記事でも詳しく紹介したので、改めて説明する必要はないだろう。もちろん、将来的に停戦はあり得るだろうが、ウクライナとロシアとの敵対関係は永続化する。それに伴い、ロシアと欧米との鋭い敵対関係もロシア制裁も実質的に永続化する。
ウクライナは敗北する可能性は高いが、関係改善の糸口が見えてくるのは、何十年もかかるだろう。アレストビッチの言うように、2035年まで続くかもしれないし、さらに敵対関係は長期化するかもしれない。
<世界を動かすメガトレンド(2)米中対立とBRICS経済圏とのデカップリング>
いま米バイデン政権は中国との対話を模索していうように見えるが、実際の米中関係は改善しているとは言えない。近いうちに メルマガ メルマガ に詳しく書くが、バイデン政権は背後で中国を軍事的に封じ込める準備を着々と進めている。このような状況は、日本の主要メディアではあまり報道されていない。
一方中国だが、経済の悪化と成長の大幅な鈍化が伝えられているものの、実際に調べてみると、思っているほど状況は悪くはない。不動産バブルの破綻の余波も最小限に押さえられ、安定成長の軌道に乗る公算の方が高い。
そうしたなか中国は、ロシアを始めとしたBRICS諸国と共同して、BRICS経済圏を急速に拡大している。BRICSは欧米には依存しない独自の決済システムを備えた独立した経済圏として、「世界銀行」や「IMF」、そして「世界貿易機構」や「SWIFT」などワシントンコンセンサスを中核としたアメリカ主導の経済圏からデカップリングしつつある。これも背景になり、中国とロシアに対するアメリカの経済制裁は長期化する。
<世界を動かすメガトレンド(3)食料、資源、エネルギー、IT製品価格の高止まり>
ウクライナ戦争の終結やBRICS経済圏の拡大には歯止めがかからないので、ロシアと中国に対する欧米の経済制裁の長期化は避けられない。これに伴い、食料、資源、エネルギー、そしてIT製品などの価格は高止まりすることになる。もちろん価格の変動はあるだろうが、中ロに対する制裁解除の方向性が見えない限り、価格の高止まりは長期的に続くことになる。