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周回遅れのライドシェア解禁は上手くいくのか?タクシーも個人運転手も共倒れで市民の「足」が消滅する危険性=今市太郎

Uberがやっているのはアプリによる配車と料金課金・回収だけ

利用者目線でみると、既存のタクシーとスマホアプリで配車が行われるUberのようなサービスとでは、価格と運転手が異なるもの……ぐらいしか認識されていない様子。

実はUberに動労提供する個人事業主は、車から燃料、保険に至るまですべて自前で調達したうえで、ライドシェアの時間を切り売りする形となっています。

そのため、基本的な投資原資は一定以上必要で、既存のタクシー運転手はライドシェアが始まったからといっても自分で車を調達しなくてはなりませんから、事業に参入するのは思いのほか高いハードルとなっています。

自転車だけ持っていれば気軽にできる「UberEats」といったビジネスから考えますと、とりあえず車があれば参入可能というほどにはライドシェアは簡単ではなく、実はかなりハードルが高いことに気づかされます。

海外では「車が来ない」という悲惨な状況も

Uberを見ていますと、世界の都市部の参入個人事業主はそれなりのバリューを利用者に提供するために新しい車を購入したりしていますから、パートタイムで仕事をするというよりも専業率が高いようです。

それだけに初期の投資資金をしっかり回収できるような収益が得られることが、業務継続の必須条件となっているようです。

しかし現実には経済環境の激化から、価格が低下したり、思ったほど仕事がないなどの問題が生じるようになっており、気がつけば各国の最低賃金にも満たないビジネスに陥ることもあるようです。

直近の米国ニューヨークなどではインフレが進みすぎて、高い燃料費で車持ち込みでサービスを供給しても、それに見合う料金が稼げないことから、車を降りてレストランで働き、Uber以上の賃金を稼ぐといった者まで出現する始末。

結果、いくらアプリで配車を要請しても、20分経っても30分経っても車が来ない……といったまさかの光景も続出しているようです。

まあ考えてみれば、タクシー事業者というのは車も整備も配車サービスもすべて自前で行うある種の装置産業ですから、潰れないかぎりは一定のサービス量を設定地域に提供しつづけることになります。

それに対してライドシャアサービスは、あくまで参入する個人事業主次第ですから、需要が豊富で誰でも簡単に参入して稼げれば問題ありませんが、思うように収益がでないとなれば、供給側のドライバーが市場から一気に離脱して、配車サービスが成立しなくなるというクリティカルな瞬間に直面することもあることは覚悟しておかなくてはならない状況です。

驚くほどインフレが進む欧米では、この問題は深刻なところにさしかかっているようです。

Next: 軽自動車だらけの日本……成功はさらに難しい?

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