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近ツーなど旅行会社5社、青森市の新型コロナ事業で談合の疑い。過去には修学旅行代金のカルテルも露見と同業界の悪しき体質は相変わらずか

青森市が発注した新型コロナ患者の移送業務の入札で、旅行大手など5社が談合を繰り返し、独占禁止法に違反した疑いがあるとして、公正取引委員会が15日に立ち入り検査に入ったと報じられている。

報道によれば、立ち入り検査を受けたのは「JTB」「近畿日本ツーリスト」「東武トップツアーズ」「名鉄観光サービス」「日本旅行東北」の青森市にある各支店。

この5社は青森市が昨年度発注した、新型コロナに感染した人を自宅から療養先の宿泊施設などに移送する業務の指名競争入札において、受注会社や入札額を事前の話し合いで決める談合を繰り返していたとのこと。

昨年度5件行われた入札は、すべて「近畿日本ツーリスト」が受注し、後にそれらを他の4社に再委託する形で、仕事を割り振っていたものとされるという。

過大請求に続き…相次ぐ旅行会社による不正行為

2020年以降のコロナ禍で、本来の事業が壊滅的な打撃を受けることとなったものの、それに代わるものとして新型コロナ関連の委託事業を各自治体から請け負うことによって、窮地を脱する格好となっていた各旅行会社。

ところが、その新型コロナに関連する業務委託に関しては、受注した旅行会社側の不正行為が今年に入り相次いで発覚することに。なかでも大いに取沙汰されたのが、近畿日本ツーリストによる過大請求事件だ。

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東大阪市などから新型コロナワクチン接種のコールセンター業務などを請け負っていた近ツーは、その際に人件費を偽って過大に請求していたとされ、後の同社による調査によれば、同様の手口で最大50自治体から最大約9億円を不正な形で請求していたとのこと。

同社からは、大阪市と静岡市にある支店の元社員らが詐欺容疑で逮捕・起訴されることとなり、現在も係争中。また今年8月には、この不祥事の責任を取る形で、近ツーの社長が辞任することとなった。

またその後には、JR西日本の連結子会社である日本旅行においても、愛知県の「全国旅行支援」事務局業務を巡り、人件費約530万円を水増しして請求していたことが判明。複数社に及ぶ形で続出する水増し請求の発覚に、業を煮やした観光庁が全国の旅行会社に対して、同様の不正はないか調査するよう指示する事態にまで至ったのだ。

過去にも囁かれた旅行会社の“談合体質”

そんななか、新たな旅行会社による不正行為として発覚した、今回の青森市の新型コロナ関連業務における入札を巡る談合疑惑だが、別の報道によれば、先述の5社から支店長クラスが出てきて事前に入札価格を相談し、近ツーが落札できるよう、その金額を調整していたということ。

ただ、実際にどの会社が最初に談合を持ちかけたのかといった、詳しいいきさつに関してはまだ分かっていないようで、今後の捜査の進展を待つしかないといったところのようである。

とはいえ、いわゆる旅行会社の間では、今回に限らずこういった談合あるいはカルテルの類は、昔から“よくある話”なのでは……といった見方も、ここに来て出ているところ。

旅行会社のとりわけ地方の支店にとっては、地元地域の小中学校や高校の修学旅行が、とても大きな商いとなってくるわけだが、過去に岡山市にある市立中学校の修学旅行代金を巡って、近ツーをはじめ東武トラベルにトップツアー、さらにJTB中国四国や日本旅行といった会社が、価格カルテルを結んでいたことが発覚。自主申告をしたJTB中国四国と日本旅行を除く3社に、公取委から排除措置命令が出されるという出来事があった。

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この話は後に、公取委が独占禁止法について分かりやすく解説する趣旨で作られたサイトにも紹介されるなど、いわばカルテルのなかでもコテコテの典型例といったケースなのだが、それだけにこの岡山に限らず、他の地域においても同様のことは行われていてもおかしくはない……と思われているということなのだ。

それと比べて今回の青森市の件に関しては、単なる利益追求といった意図もさることながら、コロナ禍で窮地に陥っているのはどの旅行会社も一緒ということで、同病ならぬ“同業相哀れむ”で、談合に至ったといった経緯も考えられそうなのだが、それによって自治体はもちろんのこと、その市民も不利益を被る形となるわけで、決して許される行為ではないことは言うまでもない話。

さらに、先述の近ツーによる過大請求にしても、特定の社員によるやらかしではなく、各地の支店で同様の不正行為が行われていたという事実もあり、今回発覚したこの一件も、実は他地域でも行われていた……といったことになっても、何ら不思議ではないところ。要は“氷山の一角”である可能性も、大いに考えられそうな状況といえそうだ。

Next: 「そもそも、なんで旅行会社にコロナの仕事が割り振られていたのか謎」

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