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他社にはマネできない近ツーの「PTA代行サービス」。各地で解散が相次ぐなどPTAの瓦解が進む“絶好機”での登場に集まる保護者の熱視線

旅行代理店大手の近畿日本ツーリストが始めたPTA代行サービス「PTA業務アウトソーシングサービス」が、一部の父兄の間で熱視線を集めているようだ。

もともと毎年の修学旅行や部活動の遠征などで昔から各学校との縁が深かったという近畿日本ツーリスト。報道によればサービス開始から1か月余りで、保護者や学校から約40件もの問い合わせがあったといい、早くも各所から注目を集めている模様だ。

コロナ禍で打撃の近ツーを救う新事業に?

近畿日本ツーリストを傘下に擁する持株会社「KNT-CTホールディングス」によるリリースを見てみると、このPTA代行サービスだが当面は「印刷・デザイン」「WEBサイト作成」「人材派遣」「イベント関連」「出張授業・学習支援」といった5つのサービスを提供するとのこと。

近鉄グループといえば、電車・バスなどの運輸部門やKNT-CTホールディングスに代表されるレジャー部門、さらに近鉄百貨店などの流通部門などが有名だが、それ以外にもCATV・ネット事業や総合人材サービス業など、その守備範囲はかなり多岐に渡る。

今回取沙汰されているPTA代行サービスは、そんなグループ各社のリソースをフルに生かしたものとなっているようで、業界最大手ながらもグループ会社の広がりがレジャー関連に留まるJTBなどといった、他の大手旅行代理店にはない近ツーなりの強みを生かした新サービスだといえそうだ。

いっぽうで、近ツーがこのようなサービスを始めた背景には、やはり長引くコロナ禍があることは大いに考えられるところ。

現にKNT-CTホールディングスの2021年度の連結業績をみてみると、売上高は前年比で59.2%増の1400億円だったものの、コロナ禍の影響が一切なかった2018年度と比べると、66.0%減という数字に留まっているという。

コロナ禍の最中には、ワクチン接種や検査の会場運営を200の地方自治体から受注するという“特需”もあったというが、やはり個人旅行はもちろんのこと、それこそ近ツーの強みであった修学旅行などの団体旅行がサッパリだった故の業績悪化。このところは修学旅行も復活の動きがあるものの、今後は旅行業だけを頼りにしない事業の多角化を目指すうえでも、今回取沙汰されているPTA代行サービスに寄せる期待はかなり大きいものがあると推測される。

保護者からは好意的な反応が多数

いっぽうでPTA側の状況はというと、ここに来てその組織が瓦解寸前といった声も多く聞こえてくるところ。

第二次世界大戦後にGHQの働きかけによって各地の学校に誕生したとされるPTA。本来は任意加入の団体だが、実際のところは大多数のPTAにおいて自動的に加入させられ、活動への従事や会費の負担を強いられるというのは周知の事実。

また人間関係の面でも煩わしいことが多いということもあり、役員や委員のなり手がどこも本当に少なくなっているようで、各学校レベルのPTAのなかには“解散”という決断を下すところも近年出てきている。

【関連】東京都小学校PTA、全国組織から退会する動き。全国の児童・生徒から集金し“上納”される縦組織システムの存在に驚きの声多数もその瓦解は目前か?

さらにいえば、PTAの全国組織である「日本PTA全国協議会」への会費の“上納システム”に関しても、下部組織の間で不満がかなり溜まっているようで、今年7月には東京都の小学校PTA協議会が、ついに日本PTA全国協議会からの退会を決定するなど、離反の動きが各地に広がっているようなのだ。

このように、戦後以降続いてきたPTAという組織の在り方が大いに問われているという、まさに絶妙なタイミングに登場した今回のPTA代行サービス。

SNS上の反応をみると、案の定「これ最高すぎんか」「どんどん代行してほしい」といった保護者サイドからの好意的な声で溢れているのだが、そのいっぽうで「いよいよPTAって何のためにあるのか解らん組織になってきたな」といった声も。

今はまだ物珍しさが先行している印象もあるPTA代行サービスではあるものの、今のこの状況だと案外早い段階で全国的に広まる可能性も大いに秘めていそうである。

Next: 「お金で代行してもらえるなら頼むさ」

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