100円(税抜)の商品を中心に取り揃えるコンビニエンスストア「ローソンストア100」で販売されている「ボイルパスタ」の存在が、ここに来てSNS上で大いに注目を集めているようである。
ローソンストア100にゆでただけのパスタが売られていたんだが賢すぎないか。 pic.twitter.com/XtfCyY7vFk
— ヤザキング/へんグル食べ歩きch (@asobikikaku) December 10, 2023
ボイルパスタはその名の通り、乾麺パスタを茹でたものに少量のパセリを散らせた状態で売られているもので、現在の本体価格は230円(税込248円)。味は付いていないため、パッケージには「お好みのパスタソースと合わせてお召し上がりください。」との一文が添えられている。
SNS上では「ありなんじゃないでしょうか」「確かに便利かもしれない」といった肯定的な見方もあるいっぽうで、ワンパックで税込248円という価格に対して「高い」という意見も多いなど、様々な反応が飛び交っている状況のようだ。
価格だけ見ると、
自分でゆでることを考えると高いけど、
そこは、価値観。
ありなんじゃないでしょうか。
僕は買わないかも。— ともぴ@ともさか (@tomop_jp) December 10, 2023
確かに便利かもしれないが238円は高い様な気が…
冷凍パスタならソースかかって色々な味が選べてもっと安い!— ツカ 【OH…COMMメンバー】 (@tukakatus) December 10, 2023
茹でただけにしては強気なお値段
— 都知事10/28帰阪 (@xdegenkinokure) December 10, 2023
自分で茹でたほうが安上がりなのは明白だが…
今回取沙汰されているボイルパスタだが、SNSをみる限り2019年あたりにはすでに販売されていた模様。
ローソンストア100といえば、おかずがウインナーだけの「ウインナー弁当」も以前に話題となるなど、有り体にいえば少々“貧乏くさい”ような商品も構わず世に出し、人々を驚かせることがよくあるのだが、その一連としてボイルパスタの存在も、SNS上でたびたび話題になるといった印象である。
ちなみにこのボイルパスタ、2021年あたりまでの商品と現在のものをと見比べてみると、パッケージの形状が変更されていることに気付くところ。2021年当時の「ボイルパスタ」は、麺の重量が約400gあったといい、パッケージに記載されている熱量は686kcal。本体価格は200円(税込216円)だったという。
では現行の商品はどうかというと、熱量は606kcalと記載されており、本体価格は先述の通り230円(税税込248円)に。このカロリー差が内容量変更に拠るものなのかどうかは判別しがたいところが、このご時世だけに相応の値上げは致し方なしといったところだろうか。
そんななか、このボイルパスタに対する否定的評価として多いのが、先述の通り「高い」「コスパが悪いのでは?」といった声。
乾麺のパスタは茹でると重量が最大で約2.5倍に増えるということで、同製品の麺量を仮に400gだとすれば、乾麺ベースだと少なくとも160g分必要ということに。乾麺のパスタといえば、価格はまさにピンキリといったところだが、とはいえ確かにボイルパスタを買うよりも、自分でパスタを茹でたほうが材料費的には安いというケースがほとんどだろう。
いっぽうで、最近ではパスタを茹でるためのガス代などの光熱費も高騰の一途。今年の10月には、東京ガスをはじめとした都市ガス大手4社すべてで料金の値上がりがあったばかりだが、つい先日には液化天然ガス(LNG)の輸入価格上昇を受けて、来年1月にも家庭向けガス料金がアップするとの報道があったばかりだ。
年々どころか月々のペースで光熱費が上昇するなか、もはやパスタを茹でるためのガスの消費ですら惜しい……といった向きが、すでに茹でてあるボイルパスタに飛びついているとも仮定できなくはないが、とはいえ冷静に考えれば、家庭でパスタを茹でる程度なら恐らくガス代は10円もかからなそうで、やはり自分で茹でたほうが割安というのは揺るがないところだ。
定番化の背景に「コスパよりタイパ」の意識も?
このように、ちょっと考えれば決して安上がりではないことが明白なだけに、“コスパ至上主義”といった向きからは、さしずめ“情弱御用達”な商品だとばかりに、その存在自体を完全否定されている格好のボイルパスタ。
確かに、どうして売っているのかが謎といった見方が広がるのも無理もない同商品なのだが、とはいえ少なくとも4~5年以上は販売され続けているということは、そこには何らかの隠されたニーズが存在するということ。
SNS上では「ホテルとか泊まってたら買っちゃいそうだなー」などと、調理がままならない出先の環境では重宝しそうといった声もあがっているのだが、その他の理由として考えられそうなのが“手間や時間のかからなさ”さらに“自由度の高さ”といったところか。
要は、水からお湯を沸かした後に乾麺を10分前後の所定時間茹でてといった、パスタを作るにあたっての最低限の手間や時間ですら煩わしい、といった向きは想像以上に多く存在し、そういった層からはレンジで1~2分チンするだけで茹で上がった状態のパスタができあがり、さらに冷凍パスタやコンビニパスタのようにあらかじめ決められた味ではなく、好みのパスタソースをかけて楽しめるといった自由さがあるという点が、大いに受けているのでは……といったことも想定できそうなのだ。
このようなパスタづくりに関して、ちょっとの手間や時間もかけたくない人々の話ということで言えば、このところSNS上で大いに物議を醸しているのが、パスタを茹でている鍋で同時にパスタソースのレトルトパックを茹でるのは、アリかナシかという議論。
パスタをこうやって茹でる人は友達 pic.twitter.com/wgLvwm9rT8
— めけてー@デジタルゴリラ広報 (@dg_meketee) December 8, 2023
店頭などで誰が触ったのかもわからないレトルトパックとパスタを一緒に茹でるという“荒業”に、潔癖症ならずとも否定的な反響が噴出したのだが、そんななか「私もやる」といった賛同の声もチラホラ。その理由としては、やはり別々の鍋でパスタを茹でたりソースを湯煎したりというのが面倒といったもの、さらに一緒に茹でれば時短になるというものが多いようなのだ。
近年はいわゆるZ世代の間でタイパ、時間対効果がより重視されるようになっているといわれているが、今回取沙汰されているボイルパスタも、いうなれば「コスパよりタイパ」といった趣旨の商品であり、そういった意識の浸透により隠れた定番商品となっている……といったことも考えられなくないかもしれない。
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