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サマンサタバサ、ボーナス“不支給”で浮上する「大量離職も?」との見方。迷走するブランドイメージ、売上は最盛期からほぼ半減

「サマンサタバサ」ブランドの企画・製造・販売を手がけるサマンサタバサジャパンリミテッドが、従業員に対する冬季賞与を不支給とすると発表したことが大きな波紋を呼んでいるようだ。

報道によれば、同社は全方位的な構造改革(リボーン計画)に着手している最中で、いち早く成果が表れてきた施策もあるものの、全社的には厳しい業績であるということで、手元流動性の確保を経営の最優先課題と認識したうえで、2023年12月に支給する予定であった賞与を支給しないことを決定したということ。

同社はさらに、2024年2月期通期連結業績予想を下方修正。修正後は売上高が236億円(修正前は261億円)、営業損益が10億円の赤字(同4億3,000万円の黒字)、純損益が11億円の赤字(同3億2,600万円の黒字)となるという。

現在は「紳士服のコナカ」の連結子会社に

1994年に設立された日本の企業であるサマンサタバサジャパンリミテッド。

そのブランドとして主に女性向けバッグを手掛けてきたサマンサタバサは、ヒルトン姉妹やミランダ・カー、ビヨンセといった海外セレブたちや、蛯原友里などその当時の国内トップモデルなどを起用した大々的なプロモーションを仕掛けることで、10~20歳代の女性を中心に絶大なる人気を誇るブランドに成長した。

2005年には当時の東証マザーズに上場。さらにはバッグだけでなくアパレル事業にも乗り出し、順調に売上を伸ばしていたのだが、2010年代後半になると俄かに業績が悪化し、また不採算店舗の見直しにより、店舗数も大幅に減ることに。

その後は、紳士服チェーン「コナカ」との関係を深めていき、2020年にはコナカの連結子会社「フィットハウス」との合併により、サマンサタバサジャパンリミテッドはコナカの連結子会社となった。

このように、最盛期である2016年2月期には約434億円という売上高をたたき出したものの、先述の通り2024年2月期における売上高予想は236億円と、ほぼ半減に近い落ち込みとなっている同社。

今回の“ボーナスカット”報道をきっかけに、SNS上ではそんなサマンサタバサの凋落ぶりが改めてクローズアップされることとなり、その原因について様々語られているといった状況なのだが、そのなかでも数多い印象なのが「一体どの層を狙っているのかがわからない」といった声。

要は10代などの若い世代をターゲットにしているのなら、その価格帯は高すぎるのではといった反面で、とはいえ大人世代が使うには製品の質がイマイチ……といった見方が根強くあるようで、ブランドとしてかなり中途半端な立ち位置となっているのが現状、との声が多いようなのだ。

従業員のモチベ低下を案ずる声も

このようなブランドイメージの迷走に伴い悪化する一途の業績を改善すべく、スギホールディングスやエステーの社長を歴任した後、2022年にサマンサタバサジャパンリミテッド社長に就任した、米田幸正氏のもとで進められているのが先述のリボーン計画。

2025年2月期までの3か年で、新業態の開発強化などビジネスモデルの転換や、サマンサタバサ事業における統合型店舗などの展開などを行い、収益性の高い事業構造へのリカバリーを図るというもので、計画通りなら来年以降はそのプロジェクトも佳境を迎えるといったところなのだが、その直前のタイミングで実施されることとなった今回の“ボーナスカット”。

そもそも従業員の平均年収もそう高くなく、待遇面での不満も多いのではといった見方もあるなか、今回の件でさらにモチベーションが低下し、さらには離職者も相次ぐのでは……といった声も、SNS上では広がっているところ。

果たしてこの苦しい時期を乗り越え、ブランドや業績の“リボーン”を果たすことができるのか、それともあえなく「おつかれサマンサ」となってしまうのか、今がまさに正念場といったところのようだ。

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