今週末3日の節分を前に、消費者庁が節分の豆による窒息や誤嚥に対して、広く注意喚起を行っているようだ。
消費者庁による呼びかけによれば、節分の際に食される硬い豆、あるいはナッツ類には、喉や気管に詰まらせて窒息したり、噛み砕いた小さなかけらが気道に入って肺炎や気管支炎を起こしたりするリスクがあるといい、特に奥歯が生えそろわず、かみ砕く力や飲み込む力が十分ではない子どもには危険だということ。
実際、平成30年から令和4年までの5年間で、5歳未満の子どもが43人、「気道閉塞を生じた食物の誤えん」で亡くなっているという。
今年の恵方巻は過去最高の売上高との試算も
豆まきで使うのはもちろんのこと、健康祈願のため“数え年の数だけ食べる”といった習わしもある節分の豆。
ただ、特に5歳以下の子どもが食べるにはリスクが伴うということで、実は消費者庁や国民生活センターのサイトを見ると、この時期になると毎年注意喚起の記事があがっているのだが、今回改めてそのことを知ったという向きも多いようで、SNS上では「餅といい豆といい日本の伝統食は…」「単純に歯が弱くなったんじゃね?」などと、様々な反応があがっているようである。
節分の豆、5歳以下食べちゃダメ かめない・のめないで窒息事故 #ldnews https://t.co/gWI0XyzM1a
餅といい豆といい日本の伝統食は素人には手が出せない
— ふかがわ (@nyaondx) January 30, 2024
節分の豆、5歳以下食べちゃダメ かめない・のめないで窒息事故 #ldnews https://t.co/HJe7yafLrC
単純に歯が弱くなったんじゃね?
— syamo (@syamo0001) January 30, 2024
いっぽう、そんな節分にまつわる数々の風習のなかでも、例年何かと議論を呼ぶことが多いのが、いわゆる「恵方巻」の存在だ。
「もともとは関西地方の風習らしい」「大阪出身だけど、昔はそんな習わしなんてなかった」だとか、「寿司・海苔業界が普及させた」「いわゆるニッパチ対策で作られた風習」などと、その起源や発生時期には諸説あるなど定かではないのだが、今では節分の際に豆以上に食べられるようになった恵方巻。
各コンビニにおいては、前年末から予約を募るようになるほどの定番商品となり、さらにデパ地下などでは豪華海鮮はもちろん、トンカツやローストビーフを巻いた変わり種など個性的なものが様々売られるようになるなど、かなりの力の入れよう。
そういった活況ぶりもあってか、今年の節分向け「恵方巻」商戦による経済効果は、全国でなんと約703億520万円にのぼり、さらに売上高は約325億9,500万円と過去最高になりそうといった試算もあるようなのだ。
恵方巻の窒息・誤嚥も多い?
このように、いまではすっかり定着した感もある恵方巻だが、先述のように「商売目的で恣意的に作られた」といった見方も依然根強いためか、いわゆる「悪しき風習」といった捉え方も一部でされることも確か。
そんな恵方巻“否定派”が真っ先に俎上にあげるのが、過去に何度も取沙汰された大量廃棄の問題。節分という一日のために全国に大量生産される恵方巻は、その反面で売れ残れば廃棄への道を辿るということで、現に先述した恵方巻きの経済効果の試算においては、同時に恵方巻における食品ロスの金額は、約13億380万円にのぼると推測されているよう。
さらに、とある食品ロス問題ジャーナリストによる試算によれば、2023年における恵方巻の大量廃棄で排出されたCO2の量は1,355tで、25mプール570杯分の水資源が無駄になったということで、環境面でも大きな負担となっているというのだ。
この“大量廃棄”が世間で大いに問題視されたことで、コンビニ各社などでは恵方巻の予約販売を進めていったという経緯があるのだが、それによって数年前には、節分当日には早々と売り切れとなるコンビニ・スーパーなどが続出。会社帰りなどに買い求めようするもまったく手に入らないといった、いわゆる“恵方巻難民”が多数発生する事態になったことも記憶に新しいところ。
またそのいっぽうで、コンビニやスーパーなどが恵方巻の予約販売を推し進めていくなかにおいては、本部側が各店舗の従業員に対して、販売本数のノルマを課すといった事例も横行。達成できない従業員のなかには自腹で購入するといった、いわば“恵方巻の自爆営業”といった状況も発生したようで、恵方巻に悪しき印象を持つ層には、そういった苦い経験を経た元従業員らも多く含まれているようである。
そして最近になってSNS上で大いに話題になっているのが、冒頭の節分の豆と同様に、恵方巻にも窒息・誤嚥の恐れがあるといった話。切っていない状態のものを恵方に向いて無言で食べるといった習わしがある恵方巻だが、これが特に高齢者の場合、喉に詰まらせてしまうことが多いというのだ。
もうすぐ悪しき風習「恵方巻き」が食されますね。
救急隊からのお願いです。
切ってない恵方巻きを無言で食べ続けるようなことを高齢者に絶対させないで下さい。
何度か喉に詰まらせた心肺停止に出動しています。縁起を担ぐために死にかけたく無ければ「高齢者の恵方巻き、ダメ、ゼッタイ」🙅♂️
— たたら★救急救命士 (@QQpickm) January 27, 2024
世間的にはすっかり定着した感もある恵方巻を食べるという風習。ただ、以前から取沙汰されている大量販売ゆえの食品ロスや環境への負荷、また販売店でのノルマの存在といった労務上の問題にくわえ、ここに来て安全上の問題も取沙汰されるなど、否定的な見方はなかなか解消されないといった状況のようだ。
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