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リニア2027年開業断念…本当に静岡だけのせい?山梨・神奈川などほかの工区でも問題山積、そもそもの事業計画に破綻か=原彰宏

大深度工事といえば…

さらに、リニア中央新幹線のトンネル工事は、地下40メートル以下の大深度を掘る工事です。

大深度と言えば、「想定外」の陥没事故が起きた東京外郭環状道路(外環道)の工事を思い出します。

東日本高速道路(NEXCO東日本)が外環道の工事をしていた東京都調布市で、2020年秋以降、道路の陥没や地下の空洞が相次いで見つかりました。

振動や音の訴え、地面のひび割れなどもあり、東日本高速の有識者会議は「特殊な地盤条件下で行った特別な作業」が原因と結論づけていました。

住民にとっては、降ってわいた災害としか言いようがなく、裁判所は一部区間の工事差し止めを認めましたが、住民側は全区間の差し止めを求めており、紛争は最高裁に持ち込まれました。

大深度地下は、通常は使用しない空間で、2001年施行の「大深度地下利用法」で、3大都市圏を対象に、公共目的なら国などの認可で、土地所有者の同意や用地買収なしに利用できることになりました。

ルート設定の自由度も高く、予算や工期が抑えられます。

通常は、「土地所有者には補償すべき損失が発生しない」ことを前提にした仕組みだったとのことです。

リニア中央新幹線も、この大深度にトンネルを掘ります。

問題が発生しないか確認しながら進めていくようですが、外環道の教訓も踏まえて、地下の状況の確認や排出土砂量の管理など施工方法の改良もしたというのです。

なんか大変な工事になりそうですね。

そもそも「2027年開業」という計画自体が無理だったのじゃあないですかね。

用地買収は進んでいるのか?

朝日新聞記事に、リニア中央新幹線2027年開業を困難にしていることに関して「静岡県と神奈川県との舌戦」が載っています。

リニア中央新幹線の東京─名古屋間の2027年開業が困難な情勢になっていることをめぐり、川勝平太知事は(2022年9月)22日の定例会見で、「神奈川県に一義的な責任がある」と述べた。

相模原市に建設予定の車両基地の用地買収が進んでいないことなどから、買収する立場の神奈川県をやり玉に挙げた形だ。

出典:リニア開業困難は「神奈川県に責任」 静岡知事、用地買収巡って批判 [静岡県]:朝日新聞デジタル(2022年9月23日配信)

このことから、2027年開業は難しいとされていたのですかね。

用地買収に関して神奈川県の黒岩知事は、(2022年10月1日)相模原市緑区鳥屋に設置予定の車両基地について「住宅の用地取得は(地権者の)8割が了承している」と話し、用地取得が順調に進んでいるとの認識をあらためて示した。

出典:同上

と述べています。でもね、実際に用地取得済みの割合は、全体の50%ぐらいでしょうか。もう少しあるかもしれないですが、まだまだ工事が進められない状況のようです。

黒岩知事は「現地で聞いた話として、移転先が決まっていなくてもリニアのために売却を決めた人もいた」と言っているようですが何なのでしょうね。

報道で黒岩知事は「リニア中央新幹線開業の遅れは神奈川県のせいではない」と強調しているようです。

Next: 山梨県側でも問題発生。開業を延期すればすべて解決するのか?

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