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リニア2027年開業断念…本当に静岡だけのせい?山梨・神奈川などほかの工区でも問題山積、そもそもの事業計画に破綻か=原彰宏

山梨県高架部分の問題

リニアモーターカーは、山梨県内の約83キロのうち大半はトンネル区間ですが、3分の1の約27キロで地上を走ることになります。

そのうち8割に、全体を覆う高さ約8メートルのフードを設置。残り計2割に当たる県内10カ所の区間は、換気の必要性などからフードではなく、高さ2~6メートルほどの防音壁を設置するとしています。

この地上を走る区間を「明かり区間」と呼んでいるそうで、主に山梨県南アルプス市を走る区間がそうで、高架橋による日照被害、騒音対策の問題があるようです。

日照被害とは、50メートルもの高いところをリニアモーターカーが走るので、その影になってしまう住民は影になってたまったものじゃあないということのようです。

騒音問題に関しては、リニア中央新幹線の建設に反対する沿線住民の団体が山梨県に対し、騒音や振動による生活への影響について県独自の現地調査を行うことなどを要請しました。

現在検討されている県内の防音壁の区間を防音フードに変更して欲しいことや、県独自で騒音や振動、地下水への影響に対する現地調査を行ってほしいと訴えました。

残土から放射線検出

赤旗の記事です。記事の一部を転載します。

JR東海が進めるリニア中央新幹線建設工事の日吉トンネル南垣外工区(岐阜県瑞浪市)で残土から複数回、放射性物質である微量のウランが検出されていたことが分かりました。この地域には日本最大のウラン鉱床が広がっています。トンネル掘削には住民から不安の声が相次いでいましたが、同社は公表していませんでした。専門家は、住民の信頼を得るためには公表が必要と指摘しています。

出典:リニア残土 微量ウラン/JR東海 公表せず/岐阜 日吉トンネル工事(2019年8月5日配信)

もともと言われていましたが、リニア中央新幹線トンネル工事では、大量の土砂が出てきます。

「要対策土」と呼ぶそうですが、リニア工事で発生する「要対策土」とは、土壌汚染対策法の基準値を超える重金属を含む土壌になり、JR東海は、要対策土に不溶化剤や固化剤を混ぜて擁壁などの造成に利用することを検討しているそうです。

しかしこのように放射性物質が検出されたら、どこの県が処分を引き受けてくれるのでしょうかね。

東京・名古屋間で約250 kmのトンネルを掘り、残土の量は6200立方メートルにのぼります。通気口、非常坑口もあちこちに掘られ、とてつもない範囲で環境に影響が出ることが予想されます。

この要対策土の処理については、なんか後々大きな問題になりそうですね。

すでにトンネルで崩落事故発生、工事費は膨らみ、差し止め訴訟も…

かつてない難工事とされているリニア中央新幹線工事ですが、すでに事故などが起き、工事の中断や遅れが生じているようです。

※参考:「リニア」の遅れは静岡だけのせい? ほかの工区でも後ずれする工事、未解決の問題を考えた:東京新聞 TOKYO Web(2024年4月5日配信)

2021年10月、岐阜県中津川市のトンネル工事現場で、火薬で掘り進める途中、岩肌が崩れ落ちて作業員2人が死傷しました。

2016年に着工した名古屋市中区にある名城非常口は底部からの湧水や土壌汚染があり、完成が予定より遅れたそうです。

2021年4月には、品川―名古屋間の総工費が従来見込まれていた5兆5,000億円から約1兆5,000億円膨らみ、7兆円あまりになる見通しが発表されました。工事が長引けば、工費がさらに膨らむ可能性もあります。ルート予定地の住民による差し止め訴訟も起きています。

先程の、山梨県南アルプス市の住民が甲府地裁に起こした訴訟は今年5月に判決が出ます。原告、被告のどちらが勝っても控訴する見込みで、原告代理人の梶山正三弁護士は「最高裁まで争えばあと2、3年はかかる。それに判決が出ても住民は簡単に土地を提供しないだろう」と言い、関係工区の完成はさらに先になるとみられます。

Next: そもそもリニア中央新幹線は必要か?静岡県だけを責めるのは違和感が…

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