週末のNYダウは119ドル安の17865ドルと続落。「原油先物価格の下落と世界経済への懸念再燃で市場心理が悪化」との解釈。23日の英国のEU離脱投票を控え、安全資産志向が上昇という見方もある。(『「兜町カタリスト」』櫻井英明)
弱気筋代表のソロス氏が長い休止期間を経てトレーディング再開
波乱要因に事欠かない中、5月米雇用統計に「推計ミス」の噂
週末のNYダウは119ドル安の17865ドルと続落。「原油先物価格の下落と世界経済への懸念再燃で市場心理が悪化」との解釈。23日の英国のEU離脱投票を控え、安全資産志向が上昇という見方もある。
週間ベースではNYダウが0.3%上昇。NASDAQ、S&P500が0.1%の下落。S&Pは2月の安値から13.3%反発したが勢いの陰りが見えてき始めたという指摘も聞かれる。FOMC、英国のEU離脱、米大統領選挙など波乱要因には事欠かない。
弱気筋の代表のジョージ・ソロス氏が長い休止期間を経てトレーディングを再開と報じられた。ソロス氏は最近世界経済の先行きと、市場が近く大きく変動することへの懸念から大規模な弱気のポジションを取るよう指示したという。「さまざまな経済・政治問題が世界を苦しめている中で、今が売りでひともうけの好機とみている」と。得てしてこういう報道とは逆に相場が動くことが多いもの。投資心理は揺れ動いているだけと見た方が良いかも知れない。
興味深いのは市場予想の4分の1以下の着地だった5月の雇用統計。噂されているのは推計ミス。これまでも特殊要因で雇用者数が急増・急減することは数多く発生。「推計を出すための計算式がうまく機能していない」との指摘もある。
今週はFOMC。今回は追加利上げ見送るとの見方。利上げ=景気良好なのか、利上げ見送り=景気後退なのかの分かれ道でもある。
週末の日経平均株価は67円安。メジャーSQ値は16639円11銭で通過。

日経平均株価 日足(SBI証券提供)
「今週は日米で重要な金融会合が控えているから、それまで動けない。相変わらず、為替の動きが不気味だが、これも英国の国民投票まで睨みあう、という展開がごく常識的」と市場の声。
加えて「ドル円の105円台を試した後のドルの戻りが弱かった。すぐに105円再チャレンジとはいかないだろう」と為替市場関係者。
日銀金融政策決定会合での追加金融緩和への期待はまたある。しかし黒田日銀は今のところ慎重姿勢。「限られた緩和カードをそうやすやすとは切れない」と見る向きも多い。
シカゴ225先物の終値は16290円で大証先物比240円安。安値は16185円。下値トライとなる可能性もある。高値16740円が高く見えてきた。10年国債利回りはマイナス0.155%と過去最低で安全資産としての債券志向は変わらず。
一方で株の空売り比率は47%まで上昇。昨年9月29日の43.4%という過去最高を更新した。空売り比率の過去最高更新は反発のサインでもあるが、数日のタイムラグは必要だろうか。「ジョージ・ソロス氏の売り出動が逆指標になってくれれば良い」という声も聞かれる。
Next: EU離脱選挙より参議院選挙よりも話題のあの選挙