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著名投資家アインホーン氏の大勝負!「GM再生」に賭けた天才の勝算は?=東条雅彦

なぜか割安で放置され続けるGM株

直近の5年の株価は上がったり下がったりの繰り返しで冴えない値動きが続いています。

<GM 株価の推移(2012年5月~2017年5月)>

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GMの株価は現在、33ドル前後で推移しています。配当利回りが4.62%PERが5倍という破格の値付けが行われています。

特に売上高や利益が大幅に落ちている場合、投資家が悲観的になって売り叩かれて、割安で放置されることもあります。しかし、GMの場合、売上高が下落しているという事実はなく、よくわからない理由で株価が低いまま、多くの投資家に無視されています。アインホーンはその間隙を見事に突きました。

財務的には教科書的バフェット銘柄

グリーンライト・キャピタルは現在、GM株を約7千3百株も保有しています。実はバフェットの率いる投資会社バークシャー・ハサウェイも、GM株を5千万株、保有しています。

<バークシャー・ハサウェイ GM株保有推移>

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バフェットも2014年には保有株数を4千万株から3千万株に減らして、その後、5千万株までポジジョンを拡大しています。アインホーンと同じように2014年にポジションを減らしたのは、GMで大規模リコールが発生したためです(この件については後述します)。

バフェットの投資法は「買いっぱなしだ」と思っている人が多いのですが、実際には状況に応じてポジジョンを縮小することもあれば、その後、拡大することもあります。バフェットは経営破綻が相次いだ航空業界への投資に乗り出す等、最近は「経営再建銘柄」への投資に力を入れています。

GMは2009年6月に一度、倒産して、国有化されています。この時に大半の債務にリセットがかかったので、とても身軽になりました。今では「教科書的バフェット銘柄」とも呼べる財務内容になっています。

<GMの業績推移(2008年~2016年)>

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GMの売上高は倒産した2009年に急落していますが、その後、毎年のように順調に増えています。純利益率は5%前後で推移しています。GMの1株当たりの純利益(EPS)も1株あたり株主資本(BPS)も上昇傾向です。

<GM 1株当たりの純利益/株主資本/ROE(2010年~2016年)>

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ROEは2014年を除くと、概ね15~20%で推移しています。2014年に大きくROEが落ちていますが、これはイグニッション(点火)スイッチの不具合による大規模リコールの対応費用が収益を圧迫したためです。

GM株は配当利回りが4.62%、PERが5倍で、グレアム的な観点で割安なだけではなく、安定的に高ROEが続くバフェット銘柄の要素も備えています。

Next: 拡大を続ける自動車市場、GMは業界一の高ROEを誇っている

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