fbpx

地政学的リスクと米利上げから読み解く「原油・金相場」のゆくえ=近藤雅世

FOMC利上げでむしろ「上昇」する金価格

「噂で買って事実で売れ」といった例は、NY金についても言える。下図の赤い矢印があるところが米国でFOMCが利上げした時である。「利上げがあるよ、あるよ」と言われ続けていると金価格は下がっているが、実際に利上げが行われた後、金価格は上昇に転じている。

170618konndoumasayo_2

それまで売り込んできた投資家が買い戻すために値上がりし、それを見た他の投資家が金は強いと思って買い増すためだと思われる。つまり、6月14日のFOMCで利上げが行われれば、その後の金価格は上昇傾向になるのではないかと想像できる(編注:14日のFOMCにて、利上げ幅0.25%の金利引き上げが決定しました)。

金相場を左右する4つのリスク

金価格を動かす今後の地政学的リスクはいくつかあるが、1つは7月17日に最初の返済が予定されるギリシャ国債の償還資金の問題であろう。これは6月15日の欧州財務相会議で資金支援が決定されれば、リスクは解消する。

欧州共同体のリスクは、オランダやフランスの選挙がEU支持派の勝利により、懸念されていたポピュリズムによるBREXITに続くEU離脱国の出現は、当面なさそうである。イタリアでは五つ星運動がEU離脱を主張しているが、総選挙で過半数を握ることはないと想定されている。

残る問題は3つある。1つは、9月のメルケル首相の総選挙であり、EUをけん引してきた彼女が舞台から降りるようなことがあれば、EUの屋台骨は揺らぐ可能性がある。

2つ目はスペインのカタルーニャの独立運動である。今すぐ独立することはなさそうであるが、スペイン政府にとっては頭の痛い問題であり続けるだろう。

最後に英国は、アイルランドの少数政党と連立を組まざるを得なくなったことで保守党の交渉力が弱まり、EUからの離脱がかなり英国に不利な条件となる可能性がある。EUへの支払い問題FTP交渉の遅延など、EUは第2の脱EU国が出ないように英国に厳しく当たるだろう。これは一層のポンド安を招くだろう。

【関連】「銀」を買う者だけが生き残る?日銀の「神風特攻」に怯える世界経済

【関連】米ドルの死と2つの仮想通貨~なぜ世界経済はリセットされようとしているのか?

1 2

グローバルマネー・ジャーナル』(2017年6月14日号)より抜粋
※記事タイトル、太字はMONEY VOICE編集部による

無料メルマガ好評配信中

グローバルマネー・ジャーナル

[無料 週刊]
最新の金融情報・データを、大前研一をはじめとするプロフェッショナル講師陣の解説とともにお届けする“無料で最強メルマガ”です。テーマは週替わりで株式・世界・為替・商品市場と、具体的な不動産投資や債券、投資信託、ファンドなどのニュースも斬ります。

いま読まれてます

この記事が気に入ったら
いいね!しよう

MONEY VOICEの最新情報をお届けします。

この記事が気に入ったらXでMONEY VOICEをフォロー