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なぜ浜田宏一氏はスティグリッツやクルーグマンでなくシムズに説得されたのか?=内閣官房参与 藤井聡

誤りを含む「シムズ理論」を、どのように活用すべきか?

…などということは一旦さておき、ここで重要なのは、シムズ理論は「均衡」を前提にする一方、スティグリッツ・クルーグマンの財政拡大論は「均衡」という前提を必ずしも必要とはしていないという点。

で、浜田参与は、そういう主流派の「均衡」仮説には大変に慣れ親しんでおられるのでシムズ論には強く共感される一方、スティグリッツ・クルーグマンの主張には必ずしも強く共感されなかった――これが実態であったと考えられます。

実際、浜田参与はしばしば「マンデルフレミング理論」を主張されますが、この論理も「均衡」を想定した論理構成となっていますし、リフレ論の根幹にある「貨幣数量説」というものも、均衡を想定したものということができます(そうじゃなきゃ、マネタリーベースをあげて物価が上がるとは予想できなくなります)。

いずれにせよ「シムズ論」は、主流派経済学と同様の『均衡』を前提とした論理の体系になっている一方で、その均衡という前提自体が現実には完全に間違えている」――というのが実体なのです。

そうである以上、シムズ論を解釈するにあたっても、その有効性と問題点を双方過不足なく見据えたうえで上手に活用していかないと、とんでもないことになる――ということが危惧されます。

その典型が、例えば『シムズ理論は、「緊縮」で物価が上がる!ということを示している!』というような、土居教授の奇妙な結論です。あるいは、「シムズが正しいとしても、内需拡大でデフレギャップを埋めようという論理は間違いなのだ!彼らに騙されてはならない!」と主張する方も当然でてくることになります。
※参考:安倍政権を賑わす「物価水準の財政理論」とは – 東洋経済オンライン(2017年1月9日付)

もちろん、シムズが正しいのならそうなのかも知れませんが、そもそものシムズ論が間違いを含んでいるのだから、その含意が常に正当とは到底言えないのです。

ホント、一旦ボタンをかけ間違えられると、世界はとことん間違え続けるんだなぁ、と感心してしまいます…。ですが、このシムズ論について青木先生にお話を伺ったところ、いろいろ問題はあるものの、「財政と金融を合わせた一般政府という概念で政策を考える」という態度は、リフレ理論から大きな「進歩」だと言えると思います、とのこと。

それゆえ、金融政策を主張した浜田参与もシムズ理論に触れたことで財政政策も重要だと主張されるに至ったわけですから――少なくとも、シムズ論のその点については、一定の評価を下すことはできそうですね。

いずれにせよ、ぜひ、一般の方々は経済学者の巧妙なウソ・詭弁には騙されないようにご注意いただきたいと思います。

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