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ドル円105円台タッチで感じた米国の「見えざる手」=江守哲

大局的にはドル安材料ばかり

とはいえ、大局的にはドル安材料ばかりです。

1月の米消費者物価指数(CPI)は、食品とエネルギーを除くコアCPIが前月比0.3%上昇し、1年ぶりの大幅な伸びとなっていましたが、金利は上昇してもドル買いにはつながっていません

週末には多少ドルは戻していますが、これはそれまでの下落の反動でしかないでしょう。

トランプ政権による法人税減税や歳出増大で景気過熱への警戒感がくすぶる中、市場ではドルを売って円を買う動きは今後も続くでしょう。

財政と貿易の「双子の赤字」が膨らむとの観測も、ドル売り地合いにつながりやすいといえます。

トランプ大統領はレーガン大統領を心酔していますが、1985年当時に起きたのがプラザ合意です。当時と今では経済環境は違いますので、一概には言えませんが、通貨切り下げで景気を良くしておきたいとの考え方は、根本的には同じかもしれません。

そうだとすれば、ドルが上昇することはありません。まして、個人の金融資産のことを考えれば、金利上昇・ドル高を抑制しなければならないことは自明であり、これも今の政策の継続につながるでしょう

ドル安傾向の継続を前提にすべての資産の方向性を見ていく必要がありそうです。

やりづらい日本の為替政策

一方、日銀が次期副総裁に積極的な金融緩和を唱える「リフレ派」で早稲田大教授の若田部氏を充てる案を検討中との一部報道を受けて、円が売られる場面はありました。

実際に若田部氏が副総裁に就任する方向になりますが、すでに緩和策はやり切っており、さらに国債買い入れを増やすべきとの若田部氏の考え方は相当古いように思います。そう考えると、新鮮味がないといえそうです。

また、今回の円高局面で、麻生財務相が為替介入に消極的な発言をしていました。これは米国にくぎを刺されている可能性がありますね。日本の政策担当者は本当にやりづらいと思います。

いずれにしても、米長期金利が上昇してもドル買いにはならない事実をよく理解しておくことでしょう。

為替は理論だけでは動かないということです。

Next: 金融緩和策に固執して孤立する日本

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