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必然だった2月の調整。巨匠ピーター・リンチなら今の株価をどう見るか?=東条雅彦

2017年とは明らかに異なる2018年の株式市場

長期で見れば安心だと言いつつ、やはり不安に感じている人も多いと思います。

元々、レバレッジを利用して取引している機関投資家は株価が下がると、信用枠を確保するため、すぐに保有する株式を投げ売ります。そうすると、その売りが売りを呼ぶ形になって、あっという間に10%⇒20%⇒30%⇒40%⇒50%と暴落していきます。しかも、意外に長期にわたって下げ続けます。

参考までに2008年のリーマンショック時には、S&P500は次のように推移しています。

<リーマンショック時の下落率と所要日数>

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下落率は2008年9月15日の1192ドルを起点して算出しています。概ね10%刻みで示したのですが、実際の株価変動が大きくて、ちょうど10%刻みでは示せませんでした。

25%前後までは案外、すんなり下落します(所要日数:24日)。その後は時間をかけて下落し続けるイメージです。最終的に、大底の683ドルに達するまでに5ヵ月と19日(=172日)もかかっています。

既に2月下旬の時点で株価は回復傾向なのですが、今回の2018年2月に生じた株価の下落がどこで底を打つのかは不明です。

相場格言では次のように言われています。

強気相場は、悲観の中に生まれ、懐疑の中に育ち、楽観の中で成熟し、幸福感の中で消えていく。

ステージ1:市場参加者が総悲観になった時が強気相場の出発点になる。

ステージ2:市場参加者が懐疑的なうちは株価は上昇していく。

ステージ3:市場参加者が楽観的になった時が強気相場の天井である。

ステージ4:市場参加者が幸福感で満たされている時に強気相場が終わる。

今、株式投資をして、儲かっている人は例外なく2008年のリーマンショックからの上昇相場に乗ってきたはずです。でも、そのリーマンショックからの立ち直りというボーナスステージ(=ステージ2)はとっくの昔に終わっています

2018年1月までは、「GDPは順調に成長している」「企業の業績が良い」「失業率が低い」という三拍子が揃った状況で、株価が下落するなんてあり得ないと思われていました。

しかし、この今の状況は先程の相場格言でいうステージ3かステージ4のどちらかでしょう。いや、どちらかと言えば、ステージ4に近いのかもしれません。

市場参加者が「楽観的になっている時」は密かに危険です。もし今がステージ3だったら、2月の株価下落は一時的な調整で、本格的な暴落はまだもう少し先になります。もし今がステージ4だったら、このまま株価下落が長期間にわたって続くことになります。

そして、今がステージが3なのか? それとも4なのか? それはわかりません。今後、株価が上昇するのか下落するのかは不明で、かつ、投資家にはアンコントローラブルであるため、議論しても仕方がありません。

でも、株価暴落時の心構えはしっかりと持っておきたい。そこで、本稿では「そもそも株価はどういう根拠で動いているのか?」を明らかにした上で、2月に巻き起こった株価下落の真相を探っていきたいと思います。

Next: 株価は適当に動いているわけではない

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