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4月からまた値上げ……日本の「体感」物価上昇はもうとっくに2%を超えている=斎藤満

日銀の見立てよりもインフレは進んでいる

その一方で、生鮮食品・エネルギーを除いた実勢を表しやすい「コアコア」がじわりと上がってきました。3月の前年比はまだ0.5%ですが、この半年では年率1%前後の上昇に加速してきました。

ここには診療費の上昇やビールの安売りを政府の介入で禁じたことなどもありますが、これまでの円安や原油価格上昇の影響が遅れて出てきた面があります。

例えば、外国パック旅行代の値上げは、原油サーチャージの上昇が影響しています。また宿泊費の上昇は、これまでの円安もあって、外国人旅行者の増加が宿泊施設の需給をタイトにした面があります。

さらに最近では瓶ビールや業務用ビール、納豆が値上がりしましたが、これは輸送コストの上昇によると言われます。また乳製品、コメ原料のお菓子類の値上げも広がっています。これらも円安、輸送コストが影響しています。

また、表面価格は変えていないものの、内容量を減らして実質値上げをしているものも少なくありません。これらが量と価格と両方を押さえていれば物価統計に反映できますが、内容量のチェックが漏れると、価格上昇分がそれだけ過少となります。

実際は数字よりも価格上昇が大きい可能性があります。

不安定な政治情勢が「物価上昇の歯止め」になる

次に第2の変化、「政治環境の変化」について考えます。

<物価に影響を与える2つの政治要因>

その1つ目が、日米関係の悪化です。

米国でキッシンジャー博士の影響力が高まったこともあり、北朝鮮に強硬論を唱える安倍政権が蚊帳の外に置かれ、日米関係がまた冷え込みました。

日本の立場が弱くなった中で日米首脳会談をすれば、米国の言いなりになりかねません。通商問題でFTAを迫られ、円安につながる金融緩和に注文がつく可能性があります。

米国は韓国とのFTA(自由貿易協定)に為替条項を盛り込みました。日本は近年為替介入をしていないので韓国と同じである必要はないのですが、FRB・ECBが金融の正常化に向かう中で、日銀だけが大規模緩和を続けることが円安誘導ととられるリスクがあります。

緩和策の維持は円高阻止の面が強いだけに、これが許されなくなれば、2%の物価目標に拘る必要もなくなります

自民党内部にも「コアで1%前後となれば、それで良しとすべき」との見方も出るようになりました。原油価格が急落しない限り、コアは当面1%前後の数字が続きそうです。その原油ですが、サウジアラムコの上場までは、原油価格急落は回避するはずです。

政治要因の2つ目が安倍政権のピンチで、安倍総理官邸の求心力が低下していることです。

今回、防衛省がイラクの「日報」を発見したことは、安倍政権には大きな打撃になるはずです。南スーダンよりもはるかに厳しい戦闘状態にあったはずのイラクに自衛隊を派遣していたことになり、もしそこで隊員の安否が問われるようなことでもあれば、トップの責任問題になります。

安倍政権が変わり、例えば岸田政調会長が後任となれば、彼はいつまでも大規模緩和は続けられないと言い、1%前後の物価上昇で手打ちとなる可能性があります。

また、政権が変わらないとしても、すでに官邸の求心力が低下しているので、アベノミクスの一環としての日銀の色合いは薄くなります。経済が順調なら、2%の物価目標に拘らない姿勢が表に出やすくなります。

Next: 物価上昇で喜ぶのは政府だけ。国民はアンケートで「困る」と回答している

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