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本気かトランプ、自動車の燃費基準をあっさり撤回。環境より米国経済優先が鮮明に=矢口新

今世紀中に気温は4℃上昇。暑さによる死亡者が増え続ける

科学の世界では、炭素排出量を減らす取り組みがなければ、世界の気温は2099年までにセ氏で4度上昇するとの見方で一致している。

研究では気温が4度上昇した場合の影響を予測するために上記の関連性を活用した。経済成長と順応による恩恵がなかったとすると、死者数は10万人当たり125人増加し、世界全体では1400万人増える。所得増を織り込んだ場合では、10万人当たりの死者数の増加幅は44人にまで減少し、屋内にとどまるなどの適応行動を含めると、増加数は10万当たりで13人、全体では約150万人に減る。

出典:気候変動のコスト、人命に換算するとどうなる

損害は人が死ぬことにとどまらない

暑さは死亡者が増えるだけにとどまらない。次に、気候変動による具体的なコスト(損失)について書かれた箇所を紹介したい。

損害は人が死ぬことにとどまらない。

社会が暑さに適応することで救われる命もあるが、資金と労力が必要で、歯の手入れや休暇など他の活動に回らなくなる。こうしたコストは気候変動の影響に織り込むべきだ。

新たな安全規則を評価する規制当局は人間の命を金額で表現することが多いが、この研究の執筆陣はそれとは逆に、順応のコストを死者数で表した。研究によると、死者数への影響は差し引きで10万人当たり35人、全体でおよそ390万人の増加となる。

主執筆者の一人のグリーンストーン氏によると、研究結果をよく使われるモデルで計算すれば、二酸化炭素が1トン増えることで生じる暑さ関連のコストは39ドルだという。

これは1.5ドル前後という現在の推計を大幅に上回る。グリーンストーン氏はバラク・オバマ前政権下で炭素の社会的コストの推計をまとめた経験がある。

研究は、共和党のカルロス・クルベーロ下院議員(フロリダ州選出)が最近提案した、1トン当たり24ドルを上回る「炭素税」も妥当だと示唆している

出典:同上

異常な暑さが奪う「人命」というコスト

紹介した記事の冒頭に「特に悲惨なのは日本で、高齢者を中心に100人以上が死亡した」とあるが、これは熱中症での人命コストだ。

気候変動のコストに、台風や大雨、高潮などを含めると、人命コストだけでも数倍以上に跳ね上がる。そこに経済的な損失や、復興への長い道のりや、心身に残された傷などを加えて行くと、その「損失」ははかり知れないものになっていく。

Next: 「人命を救う」ための環境規制コストなら安いもの

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