他人任せでなく、自分の裁量が振るえる場所――それが相場だ
それにしても、インフレ政策と、消費税率の引き上げを同時に行ったことで、100兆円の消費でも、インフレで99兆円分のモノやサービスしか買えず、さらに8%の消費税で、91兆円分のモノやサービスしか手に入らなくなりました。消費者は大損です。
ここで、消費税率10%、インフレ率2%にでもなれば、100兆円の消費でも売上は90兆円、実質的に手に入るのは88兆円分となります。破滅的ですね。
では、誰が得をしたのでしょう?インフレはカネの価値を下げますので、借金している人が得します。借りた時より、返す時の価値が低いからです。
日本で一番多くの借金をしているのは誰か、ご存じですよね。増税分を手にするところです。
また、インフレ政策では金利が上がり、利払いが苦しくなる恐れがありますが、量的緩和で国債を買っているので、金利水準は低いままです。つまり、政府・財務省にとっては、一見、完璧な政策だったのです。
本当は、税率を下げて、景気拡大、消費増による税収増の方が大きいと思うのですが、待てなかったのですね。こんな例は、世界の歴史、日本の藩政などでも枚挙に暇がないほど見つかります。世の中は理不尽なのです。
相場という鏡を通して、世界の政治経済をみていると、数え切れないほどの理不尽なことが、いま現在の世の中で起きていることを痛感します。
そんな時、あなたならどうしますか?日本を出ても同じですよ。どの国の政府も似たようなものです。歴史を学べば、理不尽でないところ、理不尽でない時代を見つけることの方がはるかに難しい。私は歴史上仮にどこかにあったとしても、短期間だけだったと見ています。
では、反政府運動をしますか?歴史を学べば、これも同じですよ。少なくとも、私が知る限り、ユートピアなどありません。
こう言うと、夢のない奴。前向きでない奴だと思う人もいるでしょう。
では、与党や野党、自国、他国の政治家に期待することが、夢なのですか?前向きなことですか?私も選挙投票こそ続けていますが、誰かに期待してもダメです。自分の人生に責任を持てるのは自分だけです。
インフレが苦しい、税金が重い、生活費が足りない。
誰かに期待してもダメです。自分で何とかするのです。
相場があって良かった。相場は世の中で数少ない、自分で何とかできる場所です。普通の人でも、他人任せではない、自分の裁量が振るえるところです。
簡単ではありませんが、自分でやれることを、きっちりやり通すこと、私はそれが前向きな生き方だと理解しています。チャレンジするのです。
『相場を知る・より安定した将来設計のために』(2015年8月24日号)より一部抜粋
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