なぜ「引きこもり」になるのか?
なぜそういう性格が形成されるかというと、多くの場合、幼少期に親から十分な愛情を受けていないことに起因すると言われています。愛情不足で育ったために大人になっても強い愛情飢餓感を抱き、それが自己愛へと形を変えて自分にすがるようになります。
だから何より自分が大事なのです。誰かに愛してもらいたい。周りに評価してもらいたいという欲求が強い。
愛情不足とは単に放置されるといったことにとどまりません。高すぎる親の期待、親の価値観の押し付け、厳しすぎるしつけや服従の強要、過保護、子への迎合など、様々な精神的虐待を含んでいます。
そのため、適切な自我や自己肯定感が育たず、つねに他人や社会からの視線を気にして、自分の思い通りにならないと、自分の存在が否定されたかのように感じてひどく傷つくのです。
それを恐れて身動きが取れなくなり、人との接触を避けるようになります。人と関わることがなければ、自分が傷つくこともないからです。
親が子どもにできること
こうした事態を防ぐために、親ができることは何でしょうか。
それは、子が適切な自己肯定感、自己有能感、自尊心、主体性を持てるような子育てをすることです。
具体的には次のようなことが挙げられます。
<愛情をたっぷり注ぐ>
親から「なんでこんなこともできないんだ!」「そんな子は知りません!」などと言われて育つと、子は自分の存在に不安定感を感じてしまいます。
しかし親が子に無償の愛情を注ぐことで、子は「自分はここに存在していいんだ」「世の中は自分を受け入れてくれている」「自分は大丈夫」という感情を抱くことができます。それが「社会は自分の敵ではない」「人は自分に攻撃してはこない」という安心感が持てます。親は子にとっての安全基地ですから、子が甘えたいときは、親はどっしりと構え甘えさせることです。
<子どもの意志を尊重する>
親があれこれ先回りしたり、親がすべて決めたり、親の価値観を押し付けたりすると、子は自分の頭で考える機会を奪われ、自ら主体的に何かに取り組むという姿勢を失ってしまいます。
そこで、子の判断を促し、それを尊重することです。たとえば塾や進学などで親の価値観を押し付けない。勉強しろとか宿題しろなどと強制しない。大人でも強制されるのは嫌ですが、子どもはもっと鋭敏に感じてしまうものです。
そして子がやりたいということは、なるべくさせてあげる。子の好奇心の目をつぶさないようよく観察し、子が夢中になれることを見つけるサポートをすること。そして子が没頭できる環境を整えてあげることです。
自分で考えて自分で判断し、何かに没頭した経験は、集中力を養い、主体性を育み、自分はできるという自信につながります。