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親の私が死んだら詰む…。我が子を「中高年ひきこもり」にしない教育法とは?=午堂登紀雄

「引きこもり」を抱える親はどうするべきか

前述のような人格形成は幼少期の親との関わり合いが大きな原因とは言え、すでに現実に引きこもりの子を抱えてしまった場合はどうすればよいのでしょうか。

親ができること、その方法のひとつは、やはり家から追い出して「ひとり暮らし」をさせることです。

引きこもりは、引きこもることができる場所があるからできることですが、親子ともに共依存関係に陥っていることが引きこもりを長期化させます。

実家にいて親に依存していると、生活設計を考える必要がないですから、自立心が育まれない。そのため、どうしても精神的に未熟になりがちです。

親の方も「自活しろ」と言えず、むしろ子がそばにいたほうが安心だと依存している(あるいはあきらめている)わけです。

多くの場合、親は子よりも先に死ぬ

そうやって親子が相互にもたれあい、何の職業的スキルも経験も経ないまま年月を重ね、ずるずると婚期を逃してどうにもならなくなってしまう…。

しかし、たいていの場合、親は自分より先にこの世を去るわけで、親の年金という収入源もいつかは消滅します。家事をしてくれる人もいなくなる。

自立できていないのに、その後の約30年以上の余生を親無しで生きていかなければならないという、大きな問題をはらんでいるのです。

だから仮に経済的にはしんどくても、当初はあまり人と関わらないアルバイトなどで稼いで自分で家賃を払い、水道光熱費を払い、自分で家事や食事をして、自分ひとりの力で生活を成り立たせる。そうやって「自分ひとりでもやっていける」という自信が、社会復帰への足掛かりになります。

どうやって「自立」させるのか?

ただし引きこもりの場合、そもそも会話が少なく親子の信頼関係が希薄である場合が多いため、いきなり「出ていけ」などという乱暴な対応は、本人を意固地にしてむしろ関係を悪化させることになりかねません。

少ないサンプル数ではありますが、引きこもりから抜け出せない家庭では「親が見栄っ張りで、他人の目を過剰に気にする」「親自身が引きこもりを社会的落伍者と捉え、周囲に隠そうとする」「子の長所や個性を無視し、あきらめている」という傾向があります。

そこでまずは、親は子を愛している、信用しているという姿勢を見せ、少しずつ会話する頻度を増やすこと。引きこもりは悪いわけでもないし、本人にも長所があり才能があり、価値があることを認めること。

そのうえで、子がどうしたいのか、どういう考えを持っているかを否定せず引き出してあげること。親の意向を押し付けるだけでは反発するので、子が感情的にならず自分の将来展望に思考が及ぶようになるまで、辛抱強く受け入れ続けることです。

Next: 自発性の芽が出たら「親の想い」を伝えるとき。それでもダメなら…

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