平成31年度の税制改正大綱が12月14日に発表されました。このなかで、消費税率10%の実施を明記している点をはじめ、いくつか注目のポイントについて解説します。(『奥田雅也の「無料メルマガでは書けない法人保険営業ネタ」』奥田雅也)
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事業(医業)経営に関する生命保険・損害保険活用術に精通し、過去20数年間で保険提案した法人数は2,500社以上。現在は大阪を拠点として保険代理店経営・保険営業を行うかたわら、年間60回程度の講演や、業界紙・本などの執筆、コンサルティング業務を展開中。著書に『ここから始めるドクターマーケット入門』(新日本保険新聞社)『法人保険販売の基礎』(電子版・保険社)など。
12月14日に発表された平成31年度の税制改正大綱の注目ポイント
消費税10%の実施で懸念される中小零細企業への影響
12/14に平成31年度の税制改正大綱が発表されました。
※参考:自民党ホームページ
まぁ別に税理士でもありませんし、講演家でもありませんからタイムリーにチェックする必要はないのかも知れませんが、ついついチェックをしてしまいます(笑)。
個人的に一番気になったのは冒頭のところで「消費税率10%を平成31年10月に確実に実施する」と明記している事です。
マスゴミでは軽減税率についてどーでもいいような話を垂れ流していますが、私は税率が2%あがる事によって資金繰りに苦しむ中小零細企業が増えるのでは?という点が気になっています。
消費税は本来の趣旨から言えば、仮受消費税から仮払消費税の差額分を納税・還付する制度ですので、仮受分と仮払分の差額を月次決算でキチンと補足してその残高分くらいの資金をストックしておかなければなりません。
ですが、そんな事は関係なく資金繰りに消えてしまっている中小零細企業は非常に多いです。
8%の時点でさえ、資金繰り難で消費税が納税出来ない事業所が多くあるなかで、10%になるとさらに延滞する事業所が増えるのではないでしょうか?
消費税の滞納が引き金となって事業を辞める中小零細企業が増えそうですね。
※本来的には払えないくらいの事業体なら止めた方が良いという議論もあるでしょうが、そこは一旦置いておきます。
医療業界の消費税の影響とは
次に消費税アップについて医療業界がどうなるか?という点です。
このメルマガを書いている最中に、ちょうどこんなニュースが入ってきました。
◆消費税対応改定、診療報酬本体は0.41%の上乗せに 大臣折衝◆
厚生労働省は12月17日、同日の予算大臣折衝の結果、2019年10月の消費税率引き上げに伴う診療報酬改定で、診療報酬本体に0.41%の上乗せを行うことが決まったと発表した。
各科別の改定率は、医科0.48%増、歯科0.57%増、調剤0.12%増。
ご存じの通り、保険診療について消費税が非課税です。※自由診療は課税対象です。
そのため、医療機関は利用者から消費税が貰えないうえに、自院の支払には消費税を支払うという「損税」になっているので、これを救済するために消費税率の引き上げと同時に社会保険診療報酬の引き上げも行われます。
個人的には、消費税ならびに地方消費税の税収で、地方自治体の公的病院の赤字を補填しているという本末転倒な状況を考えますと、医療も課税対象にしても良いと思うんですけどね。
まぁ診療報酬はグロスでの改定率ですから、どこかを下げてどこかを上げてトータルで上記率になりますから、どこが下がって、どこが上がるのかは注目しておいた方がよさそうです。
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