この10年間で政府の債務は500兆円増加
2009年度以来、日本政府の歳出は毎年約100兆円規模で推移している。一方、2018年度予算までの税収は年平均約50兆円なので、この10年間だけでも政府の債務は500兆円増えたことになる。
※参考:一般会計における歳出・歳入の状況 – 財務省
それまでの期間も、日本政府はずっと赤字を出してきているので、日本の公的債務は1,000兆円を超えるまでになっている。
一方で、IMFが次のように警告しているという。
日本の負債額はGDPの283%に相当するが、その半分以上を日本銀行を含めた政府機関が抱えている。他の資産も考慮に入れて試算すると、日本の『純資産』はほぼプラスマイナスゼロになる。
政府の負債の半分を、日本銀行を含めた政府機関が抱えていると言われても、何のなぐさめにもならない。官と民という構図では、すべて官の借金だからだ。そして、官は民の行政機構に過ぎないので、すべて民の負担となる。指摘はさらに次のように続く。
こうした分析は、完璧にはほど遠い。根拠となっているデータは統一性に欠ける。そして、資産と負債の全体像を把握しようとする中で、公的年金制度の将来的なコストや、地下に眠る自然資源の価値などについては、大胆な推計を用いることになる。また、国有企業や資産は簡単には売却できない。
出典:同上
赤字解消のために「水道民営化」へ?
確かに前述の財務省「一般会計における歳出・歳入の状況」の図では、赤線で描かれた歳出に対して、青線で描かれているのは税収だ。政府に税収以外の収入、例えば、郵政民営化のような収入があれば、毎年50兆円もの赤字が出ているわけではない。
実際、現在検討されているのが水道事業の民営化だ。これには、フランスの水道大手が参入する見込みだという。
もっとも、こうした資産の売却益は一時的な特別収益で、毎年の赤字を埋める手段とはなりえない。そして、現在プラマイゼロの純資産は、資産の減少によりマイナスに転じてしまうのだ。
つまりIMFの指摘は、日本は負債額に匹敵する資産を有している点と同時に、純債務国転落への瀬戸際まできたことも示している。それがプラマイゼロの意味だ。