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コスパのサイゼリヤ、店舗数のすかいらーく。ファミレス業界の復活は本物か?=栫井駿介

外食業界は小売業界と同じ道を歩むか

今は好調なファミリーレストラン業界ですが、外食は栄枯盛衰の激しい世界です。今日の勝ち組が明日には負け組になってしまうことも決して珍しいことではありません。

長期的な話をするならば、外食業界は小売業界と似たような軌跡をたどると考えます。

小売業界においては、かつて「何でも揃う」百貨店やダイエーなどの総合スーパーがもてはやされましたが、今は客足が伸びず、苦境にあえいでいます。

かわって台頭してきたのが、ユニクロやニトリなどの専門店です。これらはひとつのカテゴリに集中することで商品の質を高めると同時に、SPA(製造小売業)の導入でコストを大幅に下げ、価格競争においても優位に立ったのです。

百貨店や総合スーパーは、外食産業で言えばまさにかつてのファミリーレストランです。一言で表すなら「何でもあるけど、何もない」。デフレに慣れきった消費者の目はシビアですから、そこを訪れる理由がなければわざわざお金と時間をかけて外出することはなくなってきました。

コンビニ弁当や冷凍食品でもそれなりの料理を楽しむことができるようになりましたから、もはや「何でも揃う」というだけで客を連れてくることはできなくなっているのです。

「専門化」と「コスト競争力」という観点でユニクロやニトリに近いと思われるのが、サイゼリヤです。イタリア料理に的を絞り、ミラノ風ドリアなど安くて美味しいヒット商品を生み出しました。また、ハウスワインは価格に対して十分すぎるほどの美味しさを提供しており、ファミレス飲みブームのきっかけを作ったとも言われます。

安くていいものを提供し続ける経営手法はいつの世も正義であり、派手さはなくとも着実に人々の生活に根付くことができるでしょう。

グループ戦略のシナジーも捨てがたい

それぞれのお店が専門化する一方で、どのカテゴリーが流行るのかを予想するのは容易ではありません。外食産業は流行り廃りが激しく、アパレルや家具のようにはいかない側面もあります。

そこで、ひとつの持株会社が様々なカテゴリーの専門店を連ねることで、どこがヒットしてもいいようにカバーしてしまう戦略もあます。すかいらーくや外食最大手でココスの親会社でもあるゼンショーHD<7550>がその例です。

違うカテゴリーのお店であっても共通する食材は多いため、購買力の強化によりコストを下げることができます。グループ全体で急成長することは難しいにしても、失敗も避けやすい経営手法です。

食材の共通化だけではなく、様々な経営ノウハウを共有することでシナジーを生むこともできるでしょう。

ゼンショーグループで急成長中なのがはま寿司(非上場)です。お店に入るとペッパー君がお出迎えしてくれます。

このペッパー君、レンタル期限を迎え8割が契約解除されてしまうという悲しいニュースもありますが、はま寿司のペッパー君はそのようなニュースは無縁とも思われるほど忙しく働いています
※参考:ペッパー君さようなら 8割超が“もう要らない” – AERA dot.
※参考:ペッパー君に冷たくしないで 「はま寿司」全店で大活躍中 – J-CASTニュース

整理券の発行から呼び出し、席番号の案内までしてくれ、店員の手を煩わせません。これだけ働いてくれるなら、外食産業でも大きな問題となっている人手不足解消にも一役買うでしょう。要は、人もロボットも使い方次第ということです。

Next: 安くなったら買いたい注目のファミレス銘柄は?/各社PERまとめ

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