マクロンのフランスとの関係
まず、日産が提携しているルノーというフランスの自動車メーカーは、かつてフランスの国営会社でした。現在もフランス政府が15%の株を保有し、政府が大きな議決権を有しています。
そのルノーが日産の株を43%も保有しています。ルノーは日産から大きな利益を得ていますが、マクロン大統領はゴーン会長に、ルノーと日産・三菱の統合を求めていました。
そしてゴーン氏のルノー・グループトップの任期が切れるのを機に、ルノー・日産の統合を条件に、ゴーン氏の再任をちらつかせ、それまで両社の合併統合に慎重だったゴーン氏が突然統合に前向きな発言をするようになりました。そして、この統合プランを練っていたのがロスチャイルドに近いゴールドマン・サックスと言われます。
マクロン大統領はかつてロスチャイルド系のファンドに努めていた人物で、いわばマクロン大統領、ロスチャイルド、ゴールドマン、ルノーがゴーン会長を通じて日産、三菱を手に入れようとの計画と言えます。
トランプの米国第一主義を批判するマクロン大統領ですが、自身も高失業率が続くフランス経済立て直しのために、日産自動車の生産・雇用が欲しかったことになります。
トランプの利益に反する
日産、三菱自動車がルノーを通じてフランスに持っていかれると、トランプ大統領は困ります。
トランプ大統領は日米通商交渉で、日本の自動車に対して、対米輸出を減らし、米国での現地生産にシフトさせ、米国の雇用拡大に仕向けたいとの思いがあります。
しかし、フランスの支配下になって米国の言うことを聞かず、米国での現地生産でなく、フランスでの生産にシフトされては困ります。
その点からは、日産、三菱連合をマクロン大統領やルノーから分離しておく必要がありました。また、三菱自動車はもともと軍事部門を持つ三菱重工業の一部門でした。日産とともに三菱もフランスの配下になれば、三菱重工の軍事部門もフランスの支配下になることが懸念されました。トランプ氏はこれを放置できません。
もちろん、トランプ政権の背後には、ロスチャイルド系やロックフェラー系がいて、それぞれがトランプ政権を通じて自身の利益拡大に画策していますが、最近の動きを見ると、ロスチャイルドに近いゴールドマン出身者が政権を追いやられ、ムニューシン財務長官も更迭のうわさが流れています。その一方でロックフェラー系のシティ・グループが影響力を高めています。
つまり、フランスのマクロン大統領、ロスチャイルドのゴールドマン対、米国のトランプ大統領、ロックフェラー系のシティ・グループとの代理戦争が、日産自動車という舞台で演じられた。そしてそのなかで、ゴーン会長がフランスの代理人としてトランプ政権から叩かれ、戦争に敗れたという構図に見えます。