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無茶なM&Aで太り過ぎたライザップ、赤字70億円からどう結果にコミットするのか?

M&Aに関する社長のコンセプト

人々の自己実現への欲求を刺激し、それへのコミットメントを引き出して収益を獲得するという、人間の心理をうまく捉えたビジネスモデルですから、トレーニングを重ねてメタボ体質が改善されると、スリムな服を着ておしゃれをしたいと思うようになるというコンセプトから、ジーンズメイトを傘下におさめることはなんとなく理解できます。

女性服を取り扱うのも、それなりには理解はできます。

しかし、漫画雑誌はどうなのでしょう。健康雑誌を販売しようとしたのでしょうかね。住宅リフォームは、どこにつながっていくのでしょうか。「よりよい環境」を求める人間の欲求を捉えたのでしょうか…。

負の“のれん”

このM&Aには、会計上のメリットがあります。

ライザップの手法はこうです。

業績の悪い企業を割安で買収し、そこで発生した「負の“のれん”」(純資産額より買収金額が下回った場合の差額)を割安購入益として、利益に計上するというものです。これは、IFRS(国際会計基準)で認められているため粉飾ではありませんが、見かけ上は営業利益のかさ上げになります。

2018年3月期の営業利益136億円のうち、74億円が割安購入益でした。

2018年3月期は前期比100%超の収益増加を実現しました。売上収益は6期続けて増収、営業利益は5期連続の増益です。

その背景には、もちろん本業である美容・健康事業の成長がありますが、このIFRSでの「割安購入益」が大きいとされています。

単純に、純資産額10億円の企業を3億円で買収すれば、7億円の割安購入益が発生することになります。

ワンダーコーポレーション買収から雲行きが…

赤字転落の原因は、ゲームソフトやCDの販売・買い取りのワンダーコーポレーションや、ヘルスケア製品の企画販売のジャパンゲートウェイといった、ここ1年以内に傘下入りした企業の再建が計画通りに進まなかったためと説明しています。

RIZAPグループは、2017年5月に繊維商社・堀田丸正の買収を発表後は、悲願となっていた札幌証券取引所から東証1部への上場に向けた準備を水面下で進めていて、業績見通しを左右する大型の企業買収を手控えてきました。

その後、子会社でコンプライアンス問題が発覚し、早期の東証上場は難しいとわかった時点で、再び買収へとアクセルを踏み込んだ、その対象がワンダーコーポレーションだったのです。

ワンダーコーポレーションは、ゲームソフトや書籍を扱う「WonderGOO」、CD・DVD販売の「新星堂」などを北関東中心に全国展開していて、年間売上は700億円超(減量ジム売上は300億円弱)の会社です。傘下の新星堂が、CD販売市場の急縮小という逆風にあえいでいるところでした。

瀬戸社長は、子会社経営再建を優先するために、買収を凍結していました。これが誤算を招きます。2018年度の業績見通しに織り込んでいた、利益の押し上げとなる前述の「割安購入益」が見込めなくなったのです。

会社利益を「割安購入益」が大部分を占めていたことによります。

いつも思うことですが、本当に一つのボタンのかけ違いから、その後の結果が大きく左右され、事が大きくなっていくものです。

Next: もとからわかっていた財務面の脆弱さ、それをカバーする対策とは…

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