「人口減少」で水道事業は赤字へ
人口減少により、水道料金収入が減少しています。
水道事業の大部分は固定費で、人口減少で水道需要が減っても、大きく運営コストが下がるものではありません。
人口減少による水道料金収入減少は、水道事業維持を困難にしているようです。約40年後には水需要が約4割減少すると厚生労働省は試算しているようです。
それゆえ毎年、水道料金は値上げされてきています。日本水道協会の調べによれば、この4年間ずっと水道料金は上がっています。家庭用水道料金の、立方メートルあたりの月額料金は、過去最高の3,228円となっています。
日本政策投資銀行の試算によれば、このままいけば、水道料金は30年後には6割も上がることになるそうです。
水道料金を値上げしても、水道事業者は赤字だそうです。厚生労働省によると、市町村が運営する水道事業は全国で約3割が赤字となっているそうです。
自治体の水道事業赤字は、そのまま私たちが支払う水道料金アップにつながります。老朽化した水道管を更新する費用も、私たちが支払う水道料金に跳ね返ってきます。日本中の老朽化した水道管をすべて更新するには、130年もかかるそうです。少子化が進めば、水道料金値上げもどんどん進んでいくことになりそうです。
人材に関しては、公的運営では人材の流動性が見込めず、高齢化に伴い人材が不足しているというのです。
以上のことから、従来の自治体運営に限界があるとして、民間の力をとりいれることで、老朽化した水道管更新を行っていこう、そのために民間企業を水道事業に参入できるように水道法を改正する必要があるというのが政府の主張です。
水道法改正のポイント
審議されていた「水道法改正のポイント」は以下の通りです。
- 水道事業者に施設の維持・修繕や台帳整備を義務付け。収支の見通しを公表
- 国が水道の基盤強化のために基本方針策定。都道府県、市町村の責務を規定
- 広域連携を進めるため、都道府県が市町村などでつくる協議会を設置可能に
- 自治体が水道事業の認可や施設の所有権を持ったまま、民間企業に運営権を委託できるコンセッション方式の導入
どこにも水道事業の「民営化」とは書かれてはいませんが、民間企業を選定し、自治体が管理するということは、間違いありません。
麻生大臣は「水道はすべて民営化する」と断言していた
入国法改正は「移民政策ではない」と主張するのと同じように、安部総理は、水道法改正は「水道事業の民営化ではない」と主張しています。
ただ、2013年4月にアメリカのシンクタンクCSIS(戦略国際問題研究所)で行われた麻生太郎財務大臣兼副総理の講演で「この水道は全て国営もしくは市営・町営でできていて、こういったものを全て民営化します」と述べています。
明確に麻生大臣は「水道の民営化」を目指すと断言しています。
民営化ではないとしても、老朽化がすすんだ水道管を更新するには、自治体運営には限界があるから民間企業にやってもらうということは、まちがいありません。
なぜ自治体がダメで、民間企業ならできるのか…まだよくわかりませんね。
「水道法改正のポイント」で注目点は「広域連携」と「コンセッション方式」になります。