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ついに始まった水道民営化、なぜ日本は海外「水道代5倍」の失敗例を無視するのか?

政府の主張は「役人には無理でも、民間ならコスト削減できる」

もう一度、水道法改正の流れを整理しますと、

水道管の老朽化 → 少子化等による水道料金収入低下で自治体の水道業が赤字 → 水道業務に民間企業のノウハウを活用する

というものです。

政府は、自治体よりも民間企業のほうがコスト削減のノウハウがあると言うのです。さらに民間企業を参入させることで競争原理が働いて、さらなるコスト削減が期待できるとしています。

更新コストの削減は、水道料金アップを抑制することにも繋がると政府は期待しています。

はたして、そううまくいくのでしょうか。

小さな自治体は「見捨てられる」可能性も

民間企業は営利団体で、利益を拡大するためにコストを削減します。コスト削減は不採算部分のカットでもあります。その裁量は企業側にあり、利益を優先するあまり、住民サービスが削減されるのではないかという懸念が出てきます。

そもそも人口減少による料金収入減少が水道事業を困難にしているわけで、人口減少が目立つ自治体や、規模が小さな自治体は、民間企業が参入しても、厳しい状況は変わらないでしょう。営利を求める民間企業なら、そういった小さな自治体を相手にしないのではないかということが危惧されます。

つまり人口減少が顕著な小さな自治体は「見捨てられる」ことにならないかということです。

不採算ではありますが絶対に必要な住民サービスこそ、営利を目的としない国や自治体が行うべきではないでしょうか。

このことを前提に、人口増加が見込めない小さな自治体での水道事業を考えてみましょう。ここで「広域連携」というキーワードが登場します。

民営化しても小さな自治体には効果がない?

「広域連携」は複数の自治体を1つのグループとして住民サービスを提供しようというものです。小さい自治体を1つにすることでサービスコストの効率化をはかろうとするものです。

広域連携の意義はよく理解できます。自治体単位という垣根を越えるというものですが、それはなにも民営化する理由にはならないでしょう。

むしろ、広域連携をしても採算性が悪いとなれば、民間企業は切り捨てないかという懸念は残ります。住民サービスを削減しないかという心配は常に付きまとうのです。

厚生労働省側は、水道事業民営化が実現しても小規模自治体には効果がないことを認めています。

コスト削減のため、あえて老朽化した水道管補修を、さらに限界まで引き伸ばすことを、民間企業は考えないでしょうか。

Next: 反対派の意見は? 民営化しやすくする「コンセッション方式」導入へ

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