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迫る中国の経済崩壊。5,000万戸の空き家が引き起こすリーマン級ショック=吉田繁治

増えすぎた経済主体別の負債

こうした通貨シナリオを知っていれば、中国共産党は、以降で示す、リーマン危機のあとの不動産投資による負債の急増を、冷静に眺めることもできるでしょう。バブルの崩壊からの失業が引き起こす、天安門のような民主革命の恐れがなくなるからです。

政治・経済の体制の転覆であり下克上でもある民主革命は、計画経済の中で失業した、あるいは所得が減った貧者の連合の、富者への反感が起こすものです。中国では、資産バブルにより巨大な貧富の格差が生じています

<中国の主体別負債:リーマン危機後から2年ごと(単位:10億ドル)>

   2008年  2010年  2012年 2014年 2016年  2018年
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政府 1,162  1,749  2,646  3,697  5,021  6,428  
世帯  767  1,359  2,227  2,312  4,706  6,629 
企業 3,928  6,429  9,818 14,096  18,090  22,052
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合計  5,837  9,537  14,692 21,105 27,817  28,681
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GDP比 145%  180%  187%  205%  255%  239%
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データ:BIS(国際決済銀行)※ここでは2年ごとに示した

世界中の、部門別負債の大きなエクセルなので、分かりにくい元データが公開されています。BISの中国の負債データには、偽装はないと考えています。日本でも、順次、新聞が書くようになってきました。当方は、ほぼ4年前から、講演や書く時に使っています。
※参考:https://www.bis.org/statistics/totcredit.htm

中国では、建設会社が建物の骨組みを売り、買った人が内装と設備をします。このため、売れ残って夜間に照明がつかない骨組みだけの建物は、幽霊の屋敷に見えるので、「鬼城」と言われます。

建設する企業部門の負債は、2008年は3.9兆ドル(429兆円)と、GDPに対して97%と他国よりは大きかったものの、まぁまぁ妥当での線。

これが、2018年の3月には、22兆ドル(2420兆円)に膨らみ、GDP比184%という残高になっています。年平均の増加率は21%と、GDPの増加である10%程度の2倍です。平均増加額は、2兆ドル(220兆円)です。GDP比で1.8倍の企業部門の総負債は、日本の国債(GDP比約200%)と同じく、異常な大きさです。

企業の負債は、なぜ10年間も、年率20%という高さで膨らみ続けてきたのか。年1,000万戸の住宅建設、商業用不動産建設、インフラ投資のためです。

しかし、住宅建設では、それが売れれば、建設会社の負債は減って、世帯の負債に置き換わります。世帯の負債の増加は2008年に7670億ドル(84兆円)から6.6兆ドル(726兆円)です。

年平均で、71兆円の増加でしかない。他方で。多い建設業を含む企業の負債は、1年に220兆円という速度で増加しています。「近代化の経済」では、住宅、ビル、道路や電力の土木・建設業が多くなります。日本でも1980年代まで建設業は600万人でした。現在は500万
人。

なぜこんなに企業の負債が増えたのか。年平均1,000万戸の建設した住宅に、鬼城のままの売れ残り在庫が出ているからです。

新築の価格は、多くが売れていないので、下がっていない。毎年、新築が行われている新しい価格の統計だからです(筆者注:NYの調査会社によると、上海では、2018年の新築価格は、前年比で8%下がっているという調査が出ています。これは、まだ政府統計には入っていません)。

Next: 住宅在庫5,000万戸の衝撃。国有企業の負債も増え続けている

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