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「嵐」解散の経済効果は3,249億円との試算に意味はあるか?~ファンの収入は増えない=近藤駿介

人気アイドルグループ「嵐」が2020年末に活動休止するまで経済効果について、約3,249億円にのぼると報道されています。 しかし、ファンに恩恵はありません。(『近藤駿介~金融市場を通して見える世界』近藤駿介)

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プロフィール:近藤駿介(こんどうしゅんすけ)
ファンドマネージャー、ストラテジストとして金融市場で20年以上の実戦経験。評論活動の傍ら国会議員政策顧問などを歴任。教科書的な評論・解説ではなく、市場参加者の肌感覚を伝える無料メルマガに加え、有料版『元ファンドマネージャー近藤駿介の現場感覚』を好評配信中。著書に、平成バブル崩壊のメカニズムを分析した『1989年12月29日、日経平均3万8915円』(河出書房新社)など。

消費増税前の駆け込み需要と同じ?嵐ファンの出費は増えるが…

「嵐」解散が莫大な経済効果をもたらす?

人気アイドルグループ「」が2020年末に活動休止するまでの2年間の経済効果について、約3,249億円にのぼると報道されています。

嵐が、今後2年間で日本全体におよぼす経済効果が約3,249億円であることが30日までに分かった。経済効果の研究で名高い関西大学の宮本勝浩名誉教授が推定した。

宮本名誉教授は、嵐による19年の経済効果を約1,505億9,189万円、20年は約1,743億1,107万円と見積もった。

その内訳は
【1】ファンクラブの会員費収入が約100億円
【2】コンサートに行くファンが消費する額が約225億6,250万円
【3】CD、DVD、グッズなどの売上金額が150億円
【4】CM、テレビ出演のギャラ収入が30億円
と仮定した。

出典:嵐の経済効果3249億円!関西大の宮本勝浩名誉教授が推定 – デイリースポーツ online(2019年1月30日配信)

こうした「経済効果」なるものがまことしやかに流される度に、事後的にも検証しようのない数字を推計することに何か意味があるのだろうかと考えてしまう。

嵐ファンの出費は増えるが、収入は増えない…

確かにファンはコンサート会場に押し寄せるだろうし、グッズ代や宿泊費、移動費などにも出費を惜しまないだろう。

しかし、ファンはこうした出費を賄うために他の出費を抑えるだろうし、嵐のコンサートに行かなくても飲食費は使っているはずなので、これだけの経済効果が本当にあるかは疑問。

忘れてならないことは、嵐の活動休止が嵐ファンの収入を増やすことはないということだ。

嵐の活動休止によって嵐ファンの収入が増えるのであれば、こうした試算の確度は上がるかもしれない。

しかし、そうした効果ないのであれば、収入が増えない人達が一時的に出費を増やすことを「経済効果」とはやし立てるのはいい加減にやめた方がいい。

嵐が活動休止した後、ファンの嵐向け支出は減ることは確実で、しょせん消費増税前の駆け込み需要と変わらないのだから。

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近藤駿介~金融市場を通して見える世界』(2019年1月30日号)より一部抜粋
※太字はMONEY VOICE編集部による

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