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株価上昇はピークを打つのか?日米ともに注意しておきたい景気ピークアウトの気配とは=山崎和邦

日本企業の業績の先行きに対する警戒感

先週週初には、昨年12月初め以来の約3ヶ月ぶりの高値を回復した。トランプが中国との閣僚級会議で「構造問題などで充分進展があった」とツイッターで説明したことを契機として、本質的な解決をともかくとして束の間の安心感でも買い材料としようとする目先筋の動きである。

当メルマガ既報で既述したように、株価構成の基本は当該企業の企業価値であるから、それの目に見える実体としては決算である。当然のことだ。それについて企業収益の先行きを占い見る場合に、公式見解としては中期計画が中勢的には最も注目される。上場企業は19年3月期に3年ぶりの最終減益になる見通しである。20年3月期についても警戒が強まっている(日本経済新聞の集計)。

中期的な成長を示したい中期計画においても「目先は厳しい」という内容を含めることが多く、それ自体が企業の弱気心理の現れである(野村證券)。

日本企業の業績の先行きに対する警戒感が上値を抑えているのは間違いない。企業自身が発する中期計画が警戒信号めいている表現がちらつくからである。筆者の後輩で投資信託の運用者が言うには、普通は投資信託の運用銘柄として選んだ銘柄を持つ場合は、少なくとも2~3年は保有つもりで買うが、今は1~2年かまたは1年単位であるとのことである。

中間反騰・自律反発の範囲、中勢的な見通し

12月25日の「陰の極」においては、PBRが1倍を割り込む水準まで売られた。アベノミクスの最盛期、壮年期相場の最中でも2016年2月に6,000円安をした時には日経平均銘柄の平均PBR1.0倍、同年6月のBREXITショックの時もPBRは1.0倍、昨年12月の「陰の極」でもPBRは一瞬1倍、古くはリーマンショック時に一瞬0.8倍台後半、民主党の政治不作為時代にも一瞬0.8倍台後半があった。そこより下はなかった。

そうするとPBR1倍というのは一応の目途となろうか。

現在のプラス材料として見込めるのは、米中貿易協議の前進と英国のEU強行離脱の回避への期待である。

この2つの「かすかな期待」を頼りとする「“陰の極”からの自律反発としての中間反騰」が現在のところであろう。

世界株価の牽引役だったNYでも、米経済指標の弱点が見え始めた。日本企業の予想増益率も他国に比べて見劣りがする。期初計画を実績が下回ればその後の株価は軟調に推移する。一方米国ではトランプが打ち出した大型減税の政策効果が7月には剥げ落ちる、そこで景気減速が鮮明になるであろう。

米景気が落ち込めば日本企業も無傷ではいられない。そこで株価はそれを先行して動くことになろう。米景気は少なくとも来年には確実に後退に入るであろう。米景気は今までの周期からしてもその他の弱含み指標からしても来年中には景気後退に陥る可能性がかなり強い。強いて確率的に言えば70%以上であろう。日本の場合に次のショックに見舞われた時に政権担当者も金融当局もほとんど打つ手がないのは懸念材料である。

FRBが利下げしても日銀の利下げ余地はほとんどない。来年に景気後退が来れば、大幅に円高に見舞われ、日本企業も2ケタ台への減益幅になる恐れは否定できない。暗い話しばかりで恐縮であるが、事実を追うとこのようになるであろう。

Next: 米国をはじめ、いま世界の株価が好調な理由とは?

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