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Tポイント消滅の序章か。アルペン「楽天ポイントへの乗り換え」がもたらす業界再編=岩田昭男

2番手の共通ポイントであるPonta(ポンタ)ポイント

2番手の共通ポイントとして三菱商事系のロイヤリティ・マーケティングが発行・運営するPonta(ポンタ)が登場したのが2010年。Tポイントがサービスを開始してから7年が経っていた。実はポンタがスタートした当初は、Tポイントに対抗できるだけの加盟店を集められるのか不安視する声が強かった。

そこで、ポンタのバックについている三菱商事グループが総力を挙げて加盟店開拓に協力し、各業種のトップではなく2番手グループの企業を攻めるという現実的な戦略で臨んだこともあって、ローソン、ケンタッキー・フライド・チキン、昭和シェル石油などの三菱系企業が多くポンタ陣営に参集した。

各業種のトップ企業ではなく、セカンド・グループの企業が比較的すんなりとポンタ陣営に加わっていくのを見たTポイントは、「市場が活性化するので歓迎する」として、ポンタの参入を受け入れた。

ポンタが各業種のトップ企業を取りにくれば死闘を覚悟しなければならなかったが、それは避けられたために、Tポイントとポンタの棲み分けはうまくいき「1業種1社」のルールによって共通ポイントのヒエラルキーは守られた。

異議を唱えた楽天の三木谷社長

ところが、2014年に楽天ポイントが3番手の共通ポイントとして名乗りを上げてから、共通ポイント戦線は風雲急を告げていく(楽天は2002年に楽天スーパーポイントのサービスを開始しているが、これはネット限定だった)。

ネット=Eコマースで成功した楽天は、リアルでは出遅れ感があった。しかし、テレビCMの効果で楽天カード会員が急増し、メジャーカード(会員数1,000万人)の仲間入りを果たし、長年赤字続きだった電子マネーの楽天Edyもようやく黒字転換して好調に推移していた。

機は熟したとみた楽天は、ここで一気に共通ポイントを使って、リアル店舗の開拓に乗り出したのだ。楽天の共通ポイントのスキームは、ネットショッピングで貯めたポイントをリアル店舗でも使えるようにするというもので、リアル店舗の加盟店をどれだけ集められるかがカギとなる。

その楽天の前に立ちはだかったのがTポイントだった。共通ポイントで先行したTポイントは、楽天の参入を何としても阻みたいと考えていた。そして、打った手が「1業種1社」の徹底だったのだ。

Next: うまく防衛したTポイント。楽天ポイントは2016年には虫の息に…

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