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Tポイント消滅の序章か。アルペン「楽天ポイントへの乗り換え」がもたらす業界再編=岩田昭男

キャッシュレス化の波に流された「1業種1社」の壁

一方、Tポイントはどうだったか。2013年7月、Tポイントはヤフー・ジャパンと提携し、Yahoo!ポイントをTポイントに統合してしまった。その結果Tポイントはリアルだけではなくネットでも使える利便性の高いお得なポイントとして生まれ変わった。

そのころTポイントは破竹の勢いだった。Tポイントがトップに君臨する共通ポイントの勢力図が固まり、ビッグデータを含めた顧客情報販売ビジネスが軌道に乗って、磐石の体制を整えたように見えた。

ところが、Tポイントの本業であるDVDレンタルのツタヤの業績が振るわなくなってきた。ネットフリックスなど動画サイトの隆盛に押されてDVDレンタルが敬遠されるようになってきたからだ。そのために全国の店舗を次々に整理し始めている。この店舗数の減少がデータ販売ビジネスに悪影響を与えている可能性もある。

さらに悪いことに、昨年から政府がキャッシュレス・ビジョンを打ち出して、国をあげてのキャッシュレス化への邁進を始めた。これがTポイントの足を引っ張り、打撃になっている。いま政府は、20%程度のキャッシュレス比率を2025年までに40%に高めるという目標を掲げている。その結果、さまざまなキャッシュレスの決済手段が推奨されるようになった。

なかでも最新のキャッシュレス手段であるQRコード決済が脚光を浴びたことで、まさに雨後の筍のようにいくつもの新しいQRコード決済が登場した。

楽天ペイ」もその1つで、はじめはさして注目されることもなかったが、いまでは楽天のキャッシュレス決済、スマホ決済の切り札的存在として浮上した。楽天ペイはQRコードで決済できる便利なツールであるが、同時に共通ポイントの楽天スーパーポイントも0.5%たまる。しかも、楽天カードを紐づけておくと、1%のポイントがつくので、合計で還元率が1.5%になるなどお得も用意されている。それで人気になっているのだ。

こうしたキャッシュレスという大きな流れのなかで、共通ポイント(QRコード決済)が1つのキーアイテムとなり、重要性を増した。同時に、さまざまな決済システムの氾濫によって、「1業種1社」のルールが有名無実化して急速に崩れつつある。

いまはローソンでもファミリーマートでも、複数のQRコード決済と共通ポイントが使える。そして、Tポイントは数ある共通ポイントの1つにすぎなくなった。

これがTポイント低迷の理由でもあるが、言い換えれば、Tポイントも「普通のポイントカード」になったといえるのかもしれない。

Next: 最も使われているQRコード決済は楽天ペイ。Tポイントの巻き返しはあるのか?

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