4.36兆ドル(3,960兆円)に増えている米国の対外負債
<統計のいろいろ>
米国の対外負債と、対外資産を引いた対外純債務については、統計によって大きな違いがあります。
おそらくWikipedia等で示されている公的な統計(純債務)には表れないタックスヘイブンから借り入れを、米国の対外負債に含むかどうかの違いです。
<BAEの対外負債と対外資産の統計>
BEA(経済分析研究所)は、米国の対外負債(海外からの米国投資)と、米国からの対外投資に対して、以下のようなデータを公表しています。このグラフのデータが正しいと判断します。
※参照:International Investment Position
それによると、米国の対外負債は2018年第3四半期で36兆ドル(3,960兆円)です。日本の対米国が多い対外資産が1,040兆円ですから(財務省ではなく日銀データ)、ユーロ、中国、産油国を含む世界から投資され、米国にとっては、負債になるものが36兆ドルあることは、当然でしょう。
BEAが集計する米国の対外資産は26.4兆ドル(2,904兆円)です。その結果、2018年の米国の対外純負債は、9.6兆ドル(1,056兆円)になっています。
米国の対外負債36兆ドルのリスク
問題は、36兆ドルの対外負債です。長期金利を現在の3%として、米国から対外的な金利の支払いは約1兆ドルになります。
対外負債は、対外資産の増加速度より速く、1年に1兆ドルは増えます。40兆ドルになるのは2022年です。実際にはもっと加速します。
<急激に増えていく公的年金と医療費>
8,000万人もいる第一次戦後ベビーブーマーの巨大なカタマリ(日本は1,000万人)が、毎年400万人ずつ、年金世代、医療費世代(医療費は日本の3倍以上)になって行き、政府の財政赤字が、1兆ドル、1.2兆ドル…2兆ドルと膨らんで、国債の増発になるからです。
米国は、日本の10年遅れで、高齢化に突入しています。米国の財政赤字拡大は、日本同様、必然的なものです。
※注:中国は15年遅れです。
<海外は、米国債の半分を買う>
米国は、国内の貯蓄(銀行預金)が少ないため、金融機関は全部の国債を買い切れず、海外に50%の国債を売らねばならない。これが、米国の対外負債の増加になります。
2021年に、仮に5%への金利の上昇があると、米国の対外利払いは40兆ドル×5%≒2兆ドル(220兆円)になります。このときが、金利払いで対外債務が膨らみ続ける、破産サイクルにはいるのです。
35兆ドルという、米国の対外債務は、以上のような意味を含んでいるのです。
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