「消費税増税が不可欠」と言いたかっただけ
そういう庶民に向かって、政府とマスコミは投資をやって資産形成をしろと言う。株の博打をやって儲けろと促している。
あの金融審議会の市場ワーキンググループの面々というのは、そうやって不安を煽り、政府と一緒になって庶民を口車に乗せ、庶民から金銭を巻き上げて賭場にぶち込んで溶かす胴元たちだ。
そういう証券会社の者たちを、マスコミはさも良識的な市場関係者として持ち上げて登場させ、報告書にはまともな内容が書いてあると宣伝している。
もともと麻生太郎氏が呼び集めた面々であり、この時期に発表することを麻生太郎氏が狙い、年金制度が破綻しないよう消費増税が必要であることを世間に強調し説得するために、いわば側面支援的な政治材料として、この報告書の作業は企画されたのだが、その真相についてマスコミは言わない。
投資など普通の庶民には不可能だ。年収200万や300万の人間には無理である。だから、基本的にこの報告書は無意味なものであり、政府が国民に示すものとして不適切なものだ。
にもかかわらず、あの報告書を打ち上げたのは、年金制度維持に消費増税が不可欠だと知らしめたかったからだ。
GDPを2倍にすれば解決する
となると、消費増税なしに社会保障を維持し、もっと豊かに充実させるべしと主張するわれわれの立場の者は、どうすればそれが可能なのか対案となる構想を打ち出す必要がある。年金を含めた社会保障の財源をどうするのか、それはどうやって作り出せるのか、具体的なエコノミクスの展望を示さなくてはいけない。
私は、日本のGDPを2倍にすることでそれが可能だという理論を持ち、その自説をずっと唱えてきた。欧州諸国が社会保障を維持できているのは、GDPを25年間で2倍にしてきたからで、税収を(保険料収入を)2倍にしてきたからだと。
GDPを1,000兆円にすれば、社会保障の財源不足で苦しむことはなくなり、年金給付を現在よりさらに増やし、国民の誰もがゆとりある老後生活を等しく送れるようになる。子どもも産むことができ、人口を健全に増やすことができる。
日本の公的年金制度は、GDPが世界の先進国と同程度に推移することを前提として設計されているもので、一国だけ成長を拒否する病気に陥り、30年間も「失われた」姿のまま停頓する姿を想定していない。