日経平均は昨日まで年初来7.59%上昇。米国の7月の機関投資家調査では、株式への投資配分を増やす一方、債券や現金の保有を減らす投資家が目立った。(『「兜町カタリスト」』櫻井英明)
米国の投資家意識はオーバーウエイトが10%増加
GPIFは宣言通り、環境に考慮した「ESG投資」を拡大
日経平均は昨日まで年初来7.59%上昇(1,520円48銭)。
ファーストリテイは年初来で23.23%高。ソフトバンクGは同42.12%上昇。2銘柄でこの間の日経平均株価を約802円押し上げたことになる。一方で、16日時点の日経平均採用銘柄の年初来の騰落率を平均すると約2.2%しか上昇していない。下落率トップは大日本住友製薬で44.29%安。エーザイの29.5%安が続き、寄与度最下位のユニー・ファミマは26.78%安だった。「個別株、打ち消しあって225」という感じだ。
バンクオブアメリカ・メリルリンチが発表した7月の機関投資家調査。世界的な金融緩和の流れや、貿易摩擦への懸念後退を背景に投資家のリスク選好がやや戻った。株式へ投資配分を増やす一方、債券や現金の保有を減らす投資家が目立った。
株式保有について、当初設けた配分より多い「オーバーウエート」にしていると答えた投資家から、少ない「アンダーウエート」にしていると答えた投資家の比率を引いた値は10%。前月のマイナス21%から急回復。
セクター別では公益事業や生活必需品などディフェンシブ業種から製造業や銀行、ハイテクなどに資金を移行。一方、債券保有を当初の配分より増やしたと答えた投資家の比率から減らしたと答えた投資家の比率を引いた値はマイナス34%。前月から12ポイント低下した。
保有資産に占める現金の比率は5.2%と前月から0.4ポイントと低下。確率は低いが発生すると悪影響が大きい「テールリスク」は「貿易摩擦」(36%)が首位を維持。ただ6月の56%からは大きく低下。次いで「金融政策の機能不全」(22%)、「中国経済の減速」(12%)だった。
今後1年で「世界景気と物価上昇率がともに過去のトレンドを下回る」と答えた投資家は79%。前月から5ポイント上昇し、2016年9月以来の高水準となった。今後1年で世界の企業収益が増えるとみる投資家から、減るとみる投資家の比率を引いた値はマイナス41%と横ばいだった。
GPIFは宣言通り、環境や企業統治などを考慮した「ESG投資」を拡大させているとの指摘。これは間違いではない。前年度の運用状況では、ESG投資の額が約3.5兆円。前年比2.3倍だ。
ただ、内訳では昨年年9月に指数を選定、運用を開始した炭素排出量をベースにした指数連動の運用額が増額の大半。
国内株を対象にした「S&P/JPXカーボン・エフィシェント指数」が新規に約3,800億円。
海外株を対象にした「S&Pグローバル大中型株カーボン・エフィシェント指数(除く日本)」は1.2兆円の投資。「これらを勘案するとESGをテーマにした日本株投資は約7,700億円の増額」との計算。
しかし…、日銀が年間で6兆円も上場ETFを買うのに比べたら需給インパクトは限定的だ。
なみに、「S&Pグローバル大中型株カーボン・エフィシェント指数(除く日本)」の構成銘柄でウエート上位。
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