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低金利で各国の借金が増加中。山一やリーマンの次にツケを払わされるのは誰なのか?=高梨彰

昨晩のECB理事会後に発表された経済見通しで、欧州の景気減速が数字に表面化されユーロが急落しました。ここで改めて、現在の世界の状況を確認してみましょう。(『高梨彰『しん・古今東西』高梨彰)

※本記事は有料メルマガ『高梨彰『しん・古今東西』』2019年3月8日号の一部抜粋です。ご興味をお持ちの方はぜひこの機会にバックナンバー含め今月分すべて無料のお試し購読をどうぞ。

プロフィール:高梨彰(たかなし あきら)
日本証券アナリスト協会検定会員。埼玉県立浦和高校・慶応義塾大学経済学部卒業。証券・銀行にて、米国債をはじめ債券・為替トレーディングに従事。投資顧問会社では、ファンドマネージャーとして外債を中心に年金・投信運用を担当。現在は大手銀行グループにて、チーフストラテジスト、ALMにおける経済・金融市場見通し並びに運用戦略立案を担当。講演・セミナー講師多数。

景気後退で警戒される、借金のシワ寄せ先

警戒されていた欧州の景気減速が表面化

「中国がくしゃみをすると、欧州は風邪をひく」、ECB(European Central Bank:欧州中央銀行)が改めて示してくれました。

ECB理事会後に公表された経済見通しでは、2019年のユーロ圏成長率は1.1%。かなりの下方修正です。ちなみに2020年は1.6%、2021年は1.5%と、今年からは改善する見通しとなっています。

欧州の景気減速は既に懸念されていました。ただ数字は恐ろしいもので、中央銀行がドンと数値を改めて出すと、市場もドンと反応しがちです。昨日はユーロがドンと売られました。

気が付けば、ドイツ国債利回りも10年債までマイナス寸前。独10年国債利回りは0.06%付近です。ユーロ圏で最も信用力のある国債で、利回りも低めではあります。それでも、仮に10年債が0%へと到達した暁には、象徴的な出来事としてニュースヘッドラインとアルゴリズム取引を刺激することになるでしょう。

数字が話題となったので、欧州と中国、ついでに日米英の数字比較をサラッと。国家債務(借金)とGDP(国内総生産)を「usdebtclock.org」のサイトから拝借です(以下、単位は兆ドルです)。

米国:借金22.1・GDP20.9
中国:借金9.1・GDP15.3
日本:借金11.8・GDP4.59
ドイツ:借金2.3・GDP3.8
英国:借金3.49・GDP3.6

改めて、中国の経済規模の大きさと日本の借金の多さが目立ちます。ついでに、米国の借金も随分増えてきたなと。

これだけだとドイツは超優良国。でも、このサイトには対外債務のGDP比率も載っていまして、ドイツの対外債務GDP比率は144%です。英国に至っては193%。ちなみに日本は101%です。

これ自体、対外資産がどれだけあるか勘案されてはいないので、あくまで借金側だけの数値ではあります。ただし、借金に掛かる金利負担が増えた場合、どこも結構コテンと転がりやすい状態であるとも言えそうです。

Next: 膨らみ続ける世界の借金、このままで大丈夫?

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