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中国、経済崩壊寸前へ。銀行が抱える不良債権がGDPの10%にまで拡大=勝又壽良

「金融不安」が中国経済最大の問題点に

7月PMI調査では、国有企業を中心とする大企業の活動が拡大に転じた様子がわかります。中小企業は逆に、前月から悪化したことが明らかになっています。これは、中小企業が信用不安に襲われていることを示唆しています。

中国の国有企業や民営大手企業の金融は、国有銀行を窓口にしていますので安泰です。中小企業は、中小金融機関との取引か、「影の銀行」(シャドーバンキング)に頼ってきました。このいずれもが、多額の不良債権を抱えて身動きできないのです。

企業経営にとって、日々の資金繰り不安があっては前向きの経営に取り組めません。7月の非製造業PMIは53.7と、前月の54.2から低下し、8カ月ぶりの低水準となりました。

この背景には、金融不安が相当の影響を及ぼしていると見るほかありません。金融不安が、中国経済最大の問題になっています。これには、解決の妙案がありません。解決は長い時間とコストがかかります。詳しくは、後で取り上げます。

中国共産党中央政治局は30日、需要喚起など景気支援に向けた取り組みを強化すると表明しました。しかし、不動産市場を活用した短期的な刺激策は行わない考えを示しています。

今まで、景気の即効薬として不動産市場をテコ入れしてきました。これが、消費者に「住宅価格は必ず上がる」という住宅神話を植え付けたのです。所得に見合わぬ高値の住宅を買い込んだ理由です。

こうして家計部門が、過剰債務を抱えて消費を切り詰める事態を迎えています。個人消費が伸び悩んで当然なのです。

不動産バブルに頼れない

現在、中国経済に起こっている現象は、紛れもなく不動産バブルの後遺症です。

中国政府は、私の知る限り一度だけ「不動産バブル」という言葉を使いました。私はこれを見て、中国政府の「経済失政」を批判しました。その後は一切、使っていないようです。自らの責任になる言葉を忌避しているのです。

不動産バブルで、農地を見境もなく宅地に転用した結果、農地不足が深刻になっています。そこで、古い墓を潰して農地に戻す事態を招いています。中国では、「祖先墳墓の地」を大切にするはずです。そういう美風を覆してまで、農地確保の必要性に迫られています。このことからも、もはや不動産バブルで経済成長を図る時代でなくなったのです。

Next: 中国が不利なのは当然?ファーウェイ問題と信用不安のダブルパンチ

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