MAKE SOME NOISE TOKYOとか、
I can’t believe we are still protesting THIS SHITなんて、
何を言わんとしているのか、意味の分からない人のほうが多いと思われます。
まわりの人々に理解されない恐れの強いスローガンをプラカードに書いてデモをすることに、いったいどういう意味があるのか、私は理解できません。
集団興奮で自己陶酔にひたることができればそれで良い、というのなら別ですが。
しかも施光恒さんが好著「英語化は愚民化」で指摘しているように、英語化推進は現政権が掲げる政策の一つ。
このデモに参加した人たちは、現政権反対を主張したかったんじゃないんですかね?!
「平和好き 憲法好き 安倍嫌い だけど安倍の推進する英語化は大好き」
そういうことなのでしょうか。
ついでに英語化の推進は、グローバル化の肯定と密接に結びついています。
世界標準の言語は英語である以上、いつまでも日本語ばかり使っていてはダメだ、という話なんですから。
わが国の大学において、英語による講義の割合を高めようとするプロジェクトが、「スーパーグローバル大学創生(支援)」と呼ばれているのは、決して偶然ではありません。
けれどもグローバル化は社会的な格差を拡大し、貧困の増加をもたらします。
ついでにSEALDsは、公式サイトでこうも主張している。
私たちが望むのは、格差の拡大と弱者の切り捨てに支えられたブラックな資本主義ではなく、豊かな国民生活の実現を通じた、健全で公正かつ持続可能な成長に基づく日本社会です。
http://www.sealds.com/#opinion
だったら、なぜデモのスローガンを日本語にしないのか。
豊かな国民生活は、豊かな国民文化を基盤にしなければ成立しません。
そして言語こそ、豊かな国民文化の中核。
この点を理解していたら、とてもじゃありませんが、現政権に反対するデモに英語のプラカードなど持ってゆけないはず。
安保法制の危険性だって、アメリカの世界戦略(何なら「グローバル・ストラテジー」と書いてもいいのですが)に巻き込まれる点にあったんじゃないでしょうか?
というわけで、今回のデモで英語のプラカードを掲げたみなさんには、この言葉をプレゼントしましょう。
TO ACT WITHOUT UNDERSTANDING WOULD LEAD TO THE VERY THING THE ACT SEEKS TO AVOID.
物事をちゃんと理解しないまま、やみくもに行動すると、意図とは正反対の結果が待っているぞ。
傑作SF映画「ブレードランナー」の使われなかった台詞です。
ではでは♪
『三橋貴明の「新」日本経済新聞』2016/2/17号より
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