fbpx

トランプ再選は米国と世界の経済に脅威を与える…ダドリー前NY総裁がコラムを発表=久保田博幸

2018年までニューヨーク連銀総裁を務めたビル・ダドリー氏が、利下げを拒否するべきと提案するコラムを執筆しました。これはどういった意図によるものなのか。(『牛さん熊さんの本日の債券』久保田博幸)

※『牛さん熊さんの本日の債券』は、毎営業日の朝と夕方に発行いたします。また、昼にコラムの配信も行ないます。興味を持たれた方はぜひこの機会に今月すべて無料のお試し購読をどうぞ。

今度はダドリー前NY連銀総裁によるトランプ批判

米国の優位性を取り戻す関税合戦、株安はFRBに丸投げ

カンザスシティ連銀総裁による「熊(トランプ大統領)に餌(金融緩和)を与えるな発言」に続いて、2018年までニューヨーク連銀総裁を務めたビル・ダドリー氏が、利下げは2020年の大統領選挙でトランプ氏の再選を助けるとして、米金融当局はこれを拒否するべきだと提案するコラムを執筆した(ブルームバーグ)。

※参考:ダドリー氏のコラムは「当局の独立性脅かす」、「危険」-反論相次ぐ‐Bloomberg(2019年8月28日公開)

このコラムでダドリー氏は次のように語っている。

「米当局の金融緩和が貿易戦争をさらにエスカレートさせ、リセッション(景気後退)のリスクを高める方向に大統領を促すのなら、話は違ってくる。その場合、打撃を和らげようとする当局の努力は無駄になるだけでなく、事態を悪化させる可能性さえある」

トランプ大統領のこれまでの言動を見る限り、来年の大統領選挙も睨み、中国との覇権争いにより米国の優位性を取り戻そうと関税合戦を仕掛けているように思える。それによる景気悪化や、その懸念による株安については、FRBになんとかしろと言っているように思われる。

「選挙そのものが米金融政策当局の管轄に入るとの主張さえ聞かれる。詰まるところ、トランプ氏の再選は米国と世界の経済、さらには米金融当局の独立性および雇用・インフレの責務達成能力への脅威となり得ることは否めない」

大統領選挙の行方がダドリー氏のこの発言によって変わるとは思えないが、この発言内容については大変危惧されるところである。

ただし、我が国のようにすでに金融政策が政治に取り込まれてしまったようになっているところもあるのも事実である。日本でもカンザスシティ連銀のエスター・ジョージ総裁やダドリー前ニューヨーク連銀総裁のようにかみついた当局者もいたが、結局、責任はすべて日銀に押しつけられている状況となっている。

果たして今後、トランプ大統領とFRBはどのような関係となるのか。熊に餌を与えるなに対し、熊がそれでは餌をくれるトップにすげ替えると言い出すのか。来年の大統領選挙はこのままでは現職のトランプ大統領が優位とみられ、FRBについても独立性が危ぶまれる懸念の方が強いように思われるのだが。


※『牛さん熊さんの本日の債券』は、毎営業日の朝と夕方に発行いたします。また、昼にコラムの配信も行ないます。興味を持たれた方はぜひこの機会に今月すべて無料のお試し購読をどうぞ。

【関連】リンガーハット、20億円赤字・大量閉店から完全復活。わずか数年で改革できた3つの要因=栫井駿介

【関連】東京五輪のために我慢しろ?2分に1回、都心上空で騒音を出す羽田「新ルート」=ら・ぽ~るマガジン

【関連】韓国のGSOMIA破棄、実はまったく影響なし。日米朝から完全に無視される文在寅=江守哲

image by : a katz / Shutterstock.com

牛さん熊さんの本日の債券』2019年8月28日号より
※記事タイトル・リード文・本文見出しはMONEY VOICE編集部による

初月無料お試し購読OK!有料メルマガ好評配信中

牛さん熊さんの本日の債券

[月額1,100円(税込) 毎週月・火・水・木・金曜日(祝祭日・年末年始を除く)]
金融サイトの草分け的な存在となっている「債券ディーリングルーム」の人気コンテンツ、「牛さん熊さんの本日の債券」がメルマガとなりました。毎営業日の朝と引け後に、当日の債券市場を中心とした金融市場の動きを会話形式にてお伝えします。さらっと読めて、しっかりわかるとの評判をいただいている「牛さん熊さんの本日の債券」をこの機会にぜひ御購読いただければと思います。

いま読まれてます

この記事が気に入ったら
いいね!しよう

MONEY VOICEの最新情報をお届けします。

この記事が気に入ったらXでMONEY VOICEをフォロー