値上がり率と値幅、どちらを取りますか?
さて、今回の本題ですが、マネー雑誌などでは「次のテンバガー候補はどれだ?」みたいな特集を良く見ますが、ご存じのようにテンバガーとは株価が10倍になる銘柄ということです。
しかし資産1億円を目指す我々としては、資産総額が幾らになるのかが大事で、手持ち資産の伸び率は関係ありません。手持ち資産10万円の人が「資産10倍になりました!」といっても100万円になっただけ。1億円には遠くおよびません。
株式も同じで株価100円、つまり100株で1万円の銘柄の株価が1日で50パーセント上昇しストップ高をつけても、その日の利益はたかが5千円。これは株価が1万円、つまり100株で100万円の銘柄なら僅か0.5パーセントの株価上昇で得られてしまう利益です。
ところで、1日で50パーセントも株価が上昇したら、かなり過熱感を帯びた状態。既存の株主なら一旦利益確定の売りを考え、新たな投資機会を探している投資家なら、もう少し株価が下がったところで考えよう、となるのが普通です。
しかし同じ5千円の上昇でも上昇率が0.5パーセントなら過熱感は全くなく、次の日以降も株価の上昇はあるのではないか、という期待を(絶対という訳ではないものの)十分に持てます。実際、0.5パーセント程度の株価の上下は日中でも良くあることです。
以下、幾つかの例をあげますが、いつも申し上げている通り、筆者がこの銘柄を買った方が良いですよ、と言っている訳ではありません。あくまで考え方の例です。
11月1日の東証一部上場銘柄で値上がり率トップはIMAGICA Group<6879>、上昇率17.64%でした。前日公表の中間決算では経常利益は赤字で筆者の基準では投資候補の「と」の字にもかからない銘柄ですが、ニュースをチェックすると「ストップ高、7-9月期の大幅増益決算を好感」という見出しがありました。それでも前日の終値からの上昇幅はたった100円。100株持っていても利益は1万円です。
一方、東証一部値上がり率ランキング23位の任天堂<7974>の値上がり率は7.46%。IMAGICAの半分以下ですが、値上がり幅は2,880円。100株保有していた人は1日で28万円超の利益です。
値上がり率が低いのに値上がり幅が大きいのは、株価の違いです。10月31日のIMAGICAの株価は567円。対して任天堂の株価は38,620円。つまり株価の高い銘柄に的を絞った方が値上がり率は少ないのに値幅が取れる、ということです。
こう考えると「次のテンバガー候補はどれだ?」なんていうのは株式投資のど素人が書いた記事という事がわかると思います。1,000%の値上がり率よりもどれだけ値幅が取れるかの方が遥かに大事なのです。
銘柄選定で、これにしようかな、それともあれかなと迷ったときは出来るだけ株価の高いものを選んだ方が良い、ということです。ご参考になれば幸いです。
<投資候補銘柄の見つけ方 1~4回目>
image by : Maryna Pleshkun / Shutterstock.com
『資産1億円への道』(2019年11月5日号)より一部抜粋
※太字はMONEY VOICE編集部による
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資産が1億円あるとゆとりある生活が可能と言われていますが、その1億円を目指す方法を株式投資を中心に考えていきます。株式投資以外の不動産投資や発行者が参加したセミナー等で有益な情報と思われるものを随時レポートしていきます。